【よう実】ヤンデレ教室 lV (ページ17)

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episode167 ページ17

Cクラスの作戦を彼に言うべきか迷ったが、それは龍園くんとの取引内容に違反する。

それに清隆の今の実力を見てみたい。

私は出しかけた言葉を胸の奥へと仕舞った。

一通り物色を終えた後、清隆は荷物を戻した。

それと同時くらいに、男子テントから平田さんが出てきた。

『…危なかったね』

｢そうだな｣

コソッと清隆に耳打ちしてから私はいつも通りの表情を平田さんに向けた。

『おはよう、平田さん。』

「おはようAさん、綾小路くん。邪魔しちゃったかな？」

こんな朝早くから2人でコソコソしていたからか、平田さんはなにか勘違いをしているようだ。

「2人とも偶然早起きしただけだ。もしかして起こしたか？」

「いや、流石にこの環境だと熟睡ってわけにはいかなくて。ったた…腰が痛いよ。やっぱり下にマットか何かを敷いてないと体にくるね」

確かに枕もマットもない、密集した状態で眠るのは楽じゃなかったけど、それでも私たち以外の生徒はまだ寝息を立てている。

色々動き回ったから疲れているんだろう。

「皆には最低120ポイント残せるって話したけど、実際のところどれだけ残せるかは疑問だ…そんなことを考えてたら目が冴えちゃって…｣

マニュアルを取り出し状況を確認する平田。

「大変だな。クラスのまとめ役も」

『任せきりで申し訳ないわ』

私と清隆も横からマニュアルを覗き込む。

見辛くないように平田さんがマニュアルの位置を調整する。

こういう細かい気配りが出来るから周りから人気なのだろうと頭の片隅で思った。

「僕は好きでやってるだけだから。クラスの皆が幸せでいてくれれば、それで満足なんだ。

けど、それが意外と難しくて。」

クラスの皆が幸せであれば、か。

「Aクラスを目指したい生徒とDクラスのままでいたい生徒がいたら、どうするんだ？」

清隆が意地悪な質問をする。

私も気になって耳を傾けた。

この善意の塊である平田さんの意見が聞いてみたい。

「難しい問題だね。…ごめん、答えはすぐに出ないよ」

何度も考えたことがあるのか、少し謝りながら平田さんは薄く笑った。

「綾小路くんとAさんはAクラスを目指したい人？それとも学校生活が楽しければいい人？」

「どちらかと言えば、学校生活優先だな。Aクラスに上がれるとは現実的に考えてない」

『…私は……ごめんなさい。あなたと同じように今すぐに答えは出せないわ』