【7】不幸体質の私、起きたら魔界でした

Lv.316＿ヤボウ ページ16

｢…なんか店の雰囲気かわっタ？｣


フルフルがそう聞くと男は困ったように笑った。


｢や〜。あの子ほんと凄くてさぁ…。俺らが扱いに困ってた客簡単に手懐けちゃうし、聞き上手だし話上手だしおだて上手だし…気づいたらウチがキャバみたいになっちゃったよ……｣


｢……マジ？｣


｢大マジ。しかも女の子たちにも気に入られてっから俺がなんかしようとすると圧がかかるから手出しできねーし。ほんと敵に回したくねーわ。｣


テレビとかでちょくちょく聞いてたけどあんなすげえとは思わなかったよ。


関わっといて損は無いな。



その言葉にフルフルが不敵な笑みを浮かべた。


｢まぁ本人は無自覚っぽいけどな…｣

｢それネ｣




……



……



……

フルフル帰宅後
スタッフルームにて




『……』


ジャズ｢Aどうした〜？｣


アロケル｢辛気臭いナ｣


『……あのひとむかつく…！』


｢｢！？｣｣


『何でかわかんないけどちょーームカつく！』


｢Aに言われるってどんだけだよ笑｣


｢分かる、オレもバチクソ腹タツ｣


｢バチクソ！？笑笑｣


『あのアロケルくんが…！？笑』


アロケルくんから出てこなそうな言葉が発せられて思わずジャズくんと笑ってしまう。


｢…知識だけじゃ分からないこと 沢山。…だから オレ 野望 出来た｣



『｢なになに？｣』



｢〜〜〜…｣



｢すげぇ俺と同じ野望だわ｣


｢！｣


『いいね！私も協力する！一緒に頑張ろ！！』



『｢｢エイエイオー！！！｣｣』



……

……

……



｢おせぇぞコラァ｣



｢｢すんません！｣｣


『すみません〜でもごみ捨て行ったんで許して下さい…』


｢｢(いつの間に！？)｣｣


『(まぁゴミ燃やしただけだけど)』



｢……今回だけな｣


『やったぁ』



もう隅々まで知り尽くしたと思っていた大人の世界。



しかしまだ知らないことばかりでなんだか悔しかった。


｢マスクやるわ。表情隠せるぞ。…そこの新人ちゃんは使わなくても大丈夫だと思うが、あえてマスクをつけるのも一つの手だ。一応やるよ｣


｢｢おぉ…｣｣


『勉強になります……！』




初めて見る高度な駆け引きに知らない遊び。





その全てが私……いや私たちにとって刺激となった。

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