廿壱 ページ21
『おか…あ、お、おかあ…さ……ん?』
頭が真っ白だ。
お母さんが。お母さんが…血塗れで倒れている。
部屋には争った形跡はない。
一方的に誰かに...
その時私は無惨様の存在なんて忘れていた。
思い出したくなかった、の方が正しいのかもしれない。
とりあえず今は母をどうにかしなければ。
でもこんな小さな体じゃ何も出来やしない。
「逃げ…て……」
そう言われてぼーっとしてた意識が戻る。
そうだ。こんなことしてる場合じゃない。
ここで無惨様のことを思い出した。
無惨様が後ろにいる。
逃げなきゃ。
逃げなきゃ逃げなきゃ。
そう思っても体は動いてくれない。
足が震えて、動かない。
『無、無惨様、なん、なんで、私のお母さんが、っ...私のお母さんが何したっていうの、っ!?』
そう言ったと同時に後ろを振り向く。
予想通りそこには『月彦』と名乗った無惨がいる。
「どうした?」
『どうした、っじゃないよ、っ、お母さんが、お母さんが死にかけてる...っあなたが、無惨がやったんでしょっ!?』
「何故私がやったと言える。大体『だって!!』」
「口を挟むな。死にたくないなら人の話を最後まで聞け。」
いつもの私なら鬼だから人じゃなくね?とかつっこんでたであろう。でもそんなこと当たり前だが出来なかった。
なぜなら目の前で、家族が死にかけている。
今世でたった1人の家族が。
「そもそも先程自分で私の方が好きと言っただろう。なら良いでは無いか。」
そうはいったけどそーゆー事じゃない。
確かに私は無惨様が好き。
でもそれは『推し』として好きだってことで、っ...
『意味がわからない...』
意味の無いことをぼそっとつぶやくことしか出来なかった。
「五月蝿い。ギャーギャー喚くな。貴様には新しい''おとうさん''が居るだろう。何が不満なんだ。殺さないだけ有難く思え。」
正直不満なんてない。はず。
だって推しと一緒に居れるんだもん。
でも、でも。意地悪だったとしても母は母だ。
大体無惨様と一緒に居るといつ食われるか分からない。
一緒にいたいって思えるのはオタクだった頃の前世だけ。何故ならばその世界は平和で、無惨様は...存在しないから。
私はこれからどうする?どうすればいい?
...誰か、助けて。
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叶乃(プロフ) - やっぱ、めちゃくちゃおもしろすぎません!?続きめちゃ気になります〜!更新頑張ってください! (2023年2月23日 22時) (レス) @page47 id: aa9cc439ad (このIDを非表示/違反報告)
ほかほかごはん(プロフ) - ゆゆさん» ゆゆ様コメントありがとうございます!うふふめっちゃ嬉しいです張り切っちゃいます💃 (2023年2月14日 15時) (レス) id: a44573bd24 (このIDを非表示/違反報告)
ほかほかごはん(プロフ) - まきさん» まき様コメントありがとうございます!ありがとうございます、頑張ります😚💪 (2023年2月14日 15時) (レス) id: a44573bd24 (このIDを非表示/違反報告)
ほかほかごはん(プロフ) - あまねさん» あまね様コメントありがとうございます!ありがとうございます🍀 ́- (2023年2月14日 15時) (レス) id: a44573bd24 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - おも、しろい!面白い!鬼ごっこで無惨がチート。みんな血気術使うとかチート。その中に1人だけある普通のこ、いや、体格6歳だから圧倒的不利な状況で逃げ切るとか凄いなぁ、おい!面白いです、投稿頑張ってください!応援してます! (2023年2月14日 15時) (レス) @page43 id: 2307c0fefd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほかほかごはん | 作成日時:2023年1月13日 23時