【狼ゲーム】無気力少女の謎 (ページ7)

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ZERO-SIXSTORY. ページ7

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(AA)

しんと静かな微睡みの中。

温感よりも寧ろ触感に訴えてくる生ぬるさを両頬に感じ、不意に目が覚めた。

手も足もまだ眠りの中にあって温かい。

未だに後頭部には睡気がこびり付いていて、

再び現から手を離しそうになる。

然し、自分の頬に触れている生温さが

妙に自分が嫌う温度で、ゆるゆると目を開けた。

「あ、起きた？」

『………………』

霧が晴れるように段々と鮮明になる視界。

そんな視界一杯に映ったのは、

虹色の髪と複数のピアスが特徴的な飯田だった。

ーー近い。

爛々と光る柔和な紫色の瞳が近い……。

然し、私に照れている余裕は無かった。

"飯田の両手が私の両頬に触れている。"

余った袖ごしながら私の両頬に伝わる体温。

喉の奥が熱い。

全身から血の気が引いていく心地。

背中に冷や汗が伝う感覚が気持ち悪い。

「おはよ～」と、

微笑む目の前の人間の腕を力任せに振り払った。

まるで鳩が豆鉄砲を喰らったようにキョトンとする飯田を横目に重い上半身を起こす。

パサリと身体からずり落ちたコートは、

誰かが掛けてくれたんだろう。

白と青のシンプルなコートに触れつつ辺りを見渡す

すると、数十人が此方を見ているのに気が付いた。

そして、中央の椅子には二匹の動物……。

『…………、誰のペット？』

「未だ寝ぼけているのか。

いい加減起きて、さっさと自分の椅子に座れ」

一番離れた位置に立っていた堅そうな男が

歯に衣着せぬ言い方で言い放った。

それを合図に、此方を見ていた数十人も席に着く。

「僕達も座ろっか」

私が腕を振り払った飯田も、

まるで、さっきの事が無かったかのように、無邪気に笑みを浮かべて席について行った。

話が全く読めない。

然し、早く座れと急かす羊達に、

誰かのコートを畳みつつ、

"AA"と書かれた席に座った。