【狼ゲーム】無気力少女の謎 (ページ24)

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TWO-THREESTORY. ページ24

..

「Aちゃん……」

『………………』

私の名前を呼ぶ声。

それに従って視線を上げると、

どこか暗然とした表情の飯田が私を見詰めていた。

何時も通り、笑みは浮かべてはいる。

浮かべてはいるが、幾分、虚偽染みたものを感じた

見るからに、作り笑いか。

生憎、私は、愛想笑いの出来損ないを向けられても嬉しいとは思わない。

眉根が中心によるのを自覚しつつ、

先を急かすように、"なに"と短く問い掛ける。

すると、飯田の品やかな指が私の手元を指差した。

「その氷袋……、どうしたの？」

『………………』

……何故、そんな事を聞いてくるのか。

そもそも、此奴には関係無いだろう。

答える必要は無いと、口を結んだ儘、黙る。

すると、サンダル特有の軽い足音が背後から響いた

「俺が渡した」

"……何か問題でも有るか？"

無愛想で空々しい声が、静まった空間を割く。

直後、笑顔が強張った飯田を横目に振り向けば、

澄ました顔の新村がそこに立っていた。

新村は、私と目が合うなり、顎をしゃくった。

「行くぞ。付いて来い」

『…………は？』

「何だ？」

いや、"何だ"、は此方の台詞だろう。

新村は当然だとでも言いたげに言って退けるが、

付いて来いと言われて素直に付いて行くのは、

今時、小学生でも有り得ない。

大量の菓子を積まれても付いては行かないだろう。

中々、動かない私を目に、

新村の顔には、僅かばかりの不快感が通り過ぎた。

「……さっき言った事を覚えてないのか？」

「Aちゃんを疑ってるから監視するって事？

それなら、僕がついてるから大丈夫だよ。ね？」

すかさず、隣から口を出したのは、飯田。

新村の鋭利で容赦の無い瞳から隠す様に、

私の前に立つと、挑発に似た笑みを口元に浮かべた

何か……。

『…………。(嫌な予感がする……)』

その予感というのは、嫌なもの程当たるもので……

「お前がついているからこそ心配なんだ」

「えー？それどういう意味？

でも、素性の分からないコウ君も十分怪しいよ？」

「お前よりはマシだ」

「ひどぉい。僕もAちゃんとお喋りしたい～」

どこか既視感の感じる言い合いが始まった。

私が要因だとしても巻き込まれる筋合いは無い。

さっさと静かな所へ行こうと、

騒がしい二人を横目に部屋の外へと進んだ。