【狼ゲーム】無気力少女の謎 (ページ19)

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ONE-EIGHTSTORY. ページ19

..

『……なんで私が…………』

限りなく冷たい眼差しが俺を射抜く。

その声には明らかな拒絶が含まれていた。

とことん一人で居たいのか。

それとも、俺を酷く嫌っているのか。

……いや、嫌われていても関係無い。

どっちにしろ、

こいつには俺に着いてきてもらう気でいる。

「言っただろう？俺は御前に疑念を抱いている。

疑いが晴れるまでは、当分、監視させてもらう」

『………………』

俺の言葉に、口元がきつく閉まるのがわかった。

"関わりたくない"という意志が、

手に取るように読み取れた。

「……嫌でも、どうせ一人で行動は出来ないんだ。

諦めて、探索に付き合え」

「いやだよ」

再び、繰り返した半ば強制的な誘いの言葉。

それに応えたのは、A……、ではなく。

音符が付きそうなほど、活気のある弾んだ声だった

声の聞こえた方向、

Aの背後に視線を移す。

そこには、リンタロウが立っていた。

「ねぇ。"嫌だ"、って言わなきゃ、Aちゃん」

無邪気に、Aに笑いかけるリンタロウ。

底抜けに柔らかい瞳。

Aを見据える時は、心底そんな瞳をする。

それを心の隅で疑問に思いつつ、

目に角を立てて、リンタロウへと指をさした。

「なぜ、御前が答える？」

「僕が先にAちゃんと探索の約束したからね」

「……見え透いた嘘を吐くな」

「わ、即答とか酷いなぁ。コウくんは……」

「それに、言っておくが御前の事も信じていない」

「えー？それ、僕達がグルだとか思ってる？」

平行線を辿る言い合い。

好い加減、痺れが切れそうになってきた時に、

ふとリンタロウがAの手首を掴んだ。

「時間も勿体無いし、

その手の痣もどうにかしたいから……。

一緒に行こっ」

「あ、お、おい……ッ！」

ぐいっと無理に引っ張るリンタロウ。

止めようと片足を踏み出した瞬間。

ぱんッーー、と酷く乾いた音が辺りに響き渡った。

それは、Aがリンタロウの手を振り払った音で。

「え……、あ……」

リンタロウが目を見開いたのも一瞬。

すぐに、"しまった"とでも言うように顔を顰めた。

しかし、時は既に遅し。

Aはリンタロウを憎悪を含んだ目付きで睨みつけると、部屋の出入り口へと足を進めていった。

『……行くぞ、新村』

ーー俺の名だけを呼んで。