【狼ゲーム】無気力少女の謎 (ページ13)

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ONE-TWOSTORY. ページ13

『……別に』

「…………」

私も人の事は言えないが、新村も相当目付きが悪い

目を逸らした今でも

鋭い刃物のような視線を肌にひりひりと感じる。

私の隣の席の"霜月ユキナリ"なんかは、

見るからに青褪めて

私と新村の成り行きを見守っている。

対立したような、重苦しい雰囲気が続くこと数秒。

私が、深い無音の溜息を洩らしたのと

"おい"と無愛想な呼び掛けが掛かるのは同時だった

"まだ何かあるのか……"

そう心の内で青息吐息を洩らしつつ

黙ったまま、視線だけを声の方へと向ける。

すると、顰蹙する新村と目があった。

見るからに、猜疑心に満ちた目をしている。

私のことを疑いにかかってきているのは

火を見るよりも明らかか。

『………………(面倒な……)』

「なぁ……、最初の頃から思っていたが。

お前、少し悠々とし過ぎじゃないか？」

「あ！それ！私も思ってたんだよ！

なんかこう"余裕がある"、みたいなー？」

新村の探るような言葉にいち早く反応したのは

猫の帽子を被った"神木リツ"という奴だった。

人を小馬鹿にしたような薄ら笑いを浮かべている。

自己紹介の時、実年齢で驚かれていたが……

確かに、精神的にも２１歳とは思えない。

心の中で軽い悪態を吐き捨てていると

片手に持つ棒付きキャンディーが私に向けられた。

"にやり"

そんな擬音が似合いそうな程

更に口角を上げた神木の口がゆっくり言葉を紡ぐ。

「お前……、

ーー実は主催者だったりしてー！」

『…………』

「それは……！ありえるかも……」

「こ、こういうデスゲームに……

被害者として主催者が紛れ込んでいるのは……

よ、よく有る話ですし……」

"高山マキ"に続き、"小宮チエ"が頷く。

何れにしても

どれも私を疑うという意のものだった。

新村を始まりに負の連鎖が続く。

主催者だったのならうまく立ち回るだろうに。

まぁ、こんな状況に陥れば

嘘と本当が入り混じって

全てのものが疑わしく見えるのは仕方ないんだろう

"内輪揉めしている場合じゃない"

そう止めようとする"森ミサキ"を横目に、

反論するのも億劫になり

気怠げに頬づえをつきつつ、そいつらを眺めた。

『ほっとけ』

思ったよりも冷ややかな声が出たか。

騒がしかった場が死んだように静まり返る。

それ以降、揶揄してくる者はいなかった。