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「ゲームの途中にすまないな。君の上司に通達を入れる予定だったが、面倒だったので私直々君に頼むことにした。
単刀直入に言う。
君、幹部補佐の仕事に興味はないか？」
とうとう来たか。
頭では分かっていても殴られたように頭がグラグラする。
それでも、この質問に答えなければならない。
『ありません』
「･･･まあそうか。例えば君が幹部補佐になったとして、部屋も広くなるし給料も上がる。いろいろ融通も効くようになるぞ」
『だとしても、私には今が大事です。何より今の仲間や上司より身分をあげたくないのです。とにかく、私には難しい頼みです』
「そうか。ならこうしよう。･･･幹部補佐と現在の役職を掛け持ちするのはどうだ？」
『っ･･･私には幹部補佐などという大役、できません。もっと有能な方はいらっしゃるでしょう』
「私はどうしても君が良い」
ヒートアップしていく論争。
エーミールさんはオロオロしていらっしゃるが、ゾムはにやにやと薄着味の悪い楽しそうな笑顔で見ている。
何の話だかわからない、という顔のヴァレンティナさんには本当に申し訳なく思う。
埒が明かない、と思ったのか。
総統閣下がついにあの言葉を持ち出した。
「総統命令だと言ったら？」
『そんなのは、ずるいですよ』
「決まりだな、仕事量は増えるが幹部補佐と特殊暗殺部隊第一部隊の隊員の役職を掛け持ちしてもらおう。君ならできるはずだ。君の部隊は明日非番のようだ、明日俺たちと研修をしよう。では、また明日」
大変なことになった。
私の頭はぐるぐると回転を続けたまま。
目も回る。
おかしい、おかしいよこんなの。
百歩譲って幹部補佐になったとしても、何より、幹部にはあの人が･･･
ぼろぼろと滴り落ちる体液は自分で抑えることができない。
まだ許すことができない。
情けない。申し訳ない。
『ごめんなさい･･･』
こんな私は許されるのかな。
ごめんなさい。お願い。助けて。
私の記憶はそこで途切れてしまった。
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