153 ページ16
『ふう･･･』
一息ついて時計を見ると、すでに日が変わっていた。
研修中は特殊暗殺部隊の仕事が休みになっているとはいえ、やはり仲間のことが気になる。
オスマンさんからの課題は今日の朝提出するつもりだけど、最後の見直しが終わっていない。
外に風にあたりに行ってもいいけど、みんなと話し込んで朝になるのも良くない。
とりあえず、コーヒーを入れなおしてから考えよう･･･
「よっ、玲！」
『うわあ！？･･･なんだゾムか･･･』
「くふふ、その様子やと疲れ溜まっとるな？」
疲れ？･･･かどうかはわからないけど体は素直らしい。背筋に寒気が走ってぴくりと肩が反応する。
「やっぱりな。オスマンからの課題ほっぽるのも良くないけど、明日は実技やで？俺全力の玲と戦いたいんやけど」
『まあ、そんな気はしててさ。外行こうかと思ってたんだよね』
「嘘つけ。オスマンやなくてもわかるで。その手に持ってるコーヒーカップはなんや？」
慌てて取り繕ったのが良くなかったのかもしれない、と今では思う。
自室の狭いシングルベッドに軍人2人がすし詰めになってる今となっては。
「んふ、あったかいなあ」
『あーもう。ていうかゾムはこんな時間まで何してたの』
「え？仕事やで」
『風呂入ったの？』
「着替えただけやで」
『やだ。シャワー貸すから今すぐ出て』
「うわっ、やめろっ、嘘嘘！入ってから来たって！」
『本当に〜？･･･って、こんなことしてる場合じゃないね』
こんなことして戯れあって、1つの布団でぎゅうぎゅう詰めになって寝るのは、軍人になる前にあったっけ。
人の暖かさに思いを馳せながら、目を閉じる。
「玲、おやすみ。明日はおもろいとこ見せてえな」
『できる分であればね･･･』
おやすみ、ちゃんと言えてたかな。
そんなことを思う前に、意識は布団と体温に潜っていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 561人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
