99 ページ8
「ああちなみに一部の幹部も護衛とパーティーに参加するが、実際近くで守るのはお前だけという事になる。
頼めるか？」
にやりと口角を上げて詳細書類を私に差し出す彼に跪き、書類を受け取った。
『命に代えても守って見せましょう、総統閣下。ハイル・グルッペン』
手を取り、キスをする。
最初はこれにも慣れなかったけど、いつの間にか前の仕事で体に染みついてしまった。
「よろしい。それじゃあ頼むぞ」
『はい』
「玲服どうすんの？」
『昔のが残ってる。バリバリ化粧しなきゃ』
地味顔でも師匠直伝のメイク方法があればどんな女にでも変装できるんだからね！
「そんなに厚化粧せんでええ。ほぼそのまんまの玲さんで来てくれや」
『よ、よろしいのですか』
「もちろん」
「良かったやん」
『わかりました･･･っそれでは、失礼します』
「頼んだぞ」
「グルさんまた後でーな！」
分厚いドアを音が極力鳴らないように閉じた。
緊張で力が抜けて座り込んでしまった。
書類はぐしゃぐしゃだし。
『はー･･･』
「めっちゃ緊張しとったな〜ていうか最後のキスイケメン過ぎやろ」
『はっ！？イケメン！？本物の美形に言われなくないって･･･』
「でも仕事モードはやばいもんな！」
『や、いや〜うん、ありがとう』
「褒められ慣れなさすぎやろ」
おっしゃる通りで。
やっとの思いで立ち上がり、歩き出す。
でも顔の熱は収まらず、下を向いてしまう。
見られたくないし。恥ずかしい。
「･･･ごめん」
『許す』
「優しすぎやろ」
『じゃあ許さん』
「ちゃいますやん〜」
ふざけるような笑顔を見て、今日も少し元気が出た。
しょうがない、許してやろう。
『･･･やっぱ許す』
「んふ、よかった〜」
･･･エリーノはどうしてるかな
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
No side
(おまけっぽいかもしれません･･･)
呼んだ兵士が出て行ってからというもの、大きな椅子に座し頬杖をつく男が1人。
頼んだ任務について考えているのだろうか、はたまた別の事か。
上の空とも見える表情を、急に表情を変えて呟いた。
「頼むから命に変えんでくれ･･･」
虚空に放ったその願いは広い仕事部屋の空気に溶けていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 470人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
