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なんやあの男?!
いきなりキスしようとしたりするか普通?
教室まで歩きながら私はただ思考をフル回転させる。
とんでもない女たらしやん、あんなん!
ありえへん、ありえなさすぎる。
乱暴に教室の扉を開けると、乱暴に机に鞄を置き、これまた乱暴に椅子に座る。
「Aちゃん」
「あ、おはよう結奈ちゃん…」
私を見るなりそばに駆けてくるのは、今朝、真田くんに追いかけ回されていた一部始終を知る結奈ちゃんだった。
「朝からお疲れ様だったねえ」
そういうと結奈ちゃんは私の掌にチョコレートを1粒置く。
「ありがとう」
と、お礼を伝えたところで、「オレにもくれよぃ!」
と丸井くんがやって来る。
「波多野、お前、真田に追いかけ回されたんだってな」
朝から面白いこと聞いた、とでも言うように、丸井くんはニヤニヤしながら続ける。
「ほんと、お前も運がわりぃーよな」
いや、本当に運が悪い。
朝から追いかけっこに付き合わされた挙句、最後はキス1歩手前の行為までいったんやから。
「ほんっまに最悪」
ボソリと私が呟くと、
「あれ、そういえば仁王くんは?」
と結奈ちゃんが首を傾げる。
「ア?仁王?あんなん置いてきた」
不機嫌そうに答える私を、不思議そうに見つめる結奈ちゃんと丸井くん。
「ここにおるナリ!」
ガラッと扉が開くのと仁王くんの声が響いたのがほぼ同時。
「助けてやったのに置いていくなんて酷いやつじゃのう」
あの意地悪そうな顔で、琥珀色の目を細めて彼は言う。
「置いていかれて当然やろ。反省しろ」
吐き捨てるように言う私を見て、
「なんだお前ら、そんなに仲良かったっけ?」
「なんやブンちゃん、知らんかったん?俺と波多野はとっても仲良しぜよ」
そういうと仁王くんはいつの間にいたのか、私の隣に立っていた。
「なぁ、波多野」
ニタリ、とまた笑うと、
仁王くんは静かに私の後頭部に手をまわす。
「「「キャーーー」」」
と、そこらじゅうから女子の悲鳴とも歓声とも取れる声が上がった。
「!」
私はただこの一瞬の行為に驚くことしか出来ず。
唇が触れる。
そう、この男。
クラス皆の前でキスしやがったのだ。
彼はまた琥珀色の目を細めて妖艶に笑うと顔をそっと話す。
「ごちそーさん」
「仁王お前…」
「仁王くん?!」
びっくりする結奈ちゃんと丸井くん。
「…」
突然のことすぎて声も出せない私。
「ま、俺らこういう関係じゃから」
と涼しい顔して銀髪は言い切ったのだ。
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mizuki(プロフ) - こんばんは!初めましてみずきです。そして明けましておめでとうございます!この小説の更新を楽しみにしています!!これからも宜しくお願いします! (2019年1月1日 23時) (レス) id: cdcb52c135 (このIDを非表示/違反報告)
凛樹(プロフ) - グレイさん» 初めまして、コメントありがとうございます!デート...、必ずどこかのタイミングで書きますね\( 'ω')/ (2018年12月10日 7時) (レス) id: 1df7087ebd (このIDを非表示/違反報告)
グレイ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます、いつも楽しく読んでおります。是非主人公と仁王君のデートが見てみたいです! (2018年12月10日 5時) (レス) id: e55dd05625 (このIDを非表示/違反報告)
凛樹(プロフ) - ちょす。さん» 初めまして!コメントありがとうございます!社畜成人済み同士是非とも仲良くしてください\( 'ω')/ (2018年11月28日 0時) (レス) id: 1df7087ebd (このIDを非表示/違反報告)
ちょす。(プロフ) - 連載がはじまったすぐに目をつけておりました!面白いです。引き込まれます‥仁王くんともっとイチャついてええんよ‥!更新楽しみにしてます。無理はなさらないで下さいね!私も社蓄・成人済みでお仲間ですね!(おい) (2018年11月27日 14時) (レス) id: f394a39ee6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛樹 | 作成日時:2018年10月28日 2時