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時を同じくして放課後────
結局結奈ちゃんからの返信はないまま。
学校の先生から預かったプリント類を鞄にしまう。
「また明日な、A」
雅治くんは私の頭を数回優しくぽんぽんと叩くとラケットバックを担いぎ、丸井くんとともに部活に向かって行った。
結奈ちゃんの事は心配やけど、どうするべきかなぁ。
鞄の中のプリント類達を眺めて思案していた。
既に教室におるのは私だけ。
いつもは騒がしい教室も、規則正しく並んだ机と椅子があるだけの寂しい空間。
そんな静寂をぶち壊す声の主たち─
「絶対に逃げたって」
「そんなのわからないじゃん!まだ教室にいるかも」
廊下から数人の女子生徒の声。
その声の主達はB組の前で立ち止まったようや。
誰か人でも探してるんやろうか。
結奈ちゃんの家までプリントを届けるか届けへんかの脳内戦争を繰り広げていた私は、そこで別の事に思考を移す。
教室の扉が開いた。
「あ」
「あ、」
瞬間、扉を開いた子と目が合う。
それは今日、昼休みに私と雅治くんを凝視してきた女の子やった。
「仁王くんの彼女」
「私の名前は仁王くんの彼女、じゃなくて波多野 A」
その棘のある言い方にカチンときて言い返す。
「あ、ああ、波多野さん。財前さん、知らない?」
「結奈ちゃんなら今日休みやけど…?」
「ほらー!やっぱり逃げたんだって!」
私が答えれば、後ろにおった女の子の1人が声を上げた。
「逃げたって、なに?」
不味い事を口走ったと気づいたんやろう、私が彼女たちを睨みながら聞き返せば、
「バカ」
と1人が小さく言った。
「どういうことって聞いてんねんけど?」
椅子から立ち上がり、彼女たちの方へと足を向けると、1人が私と対峙する。
「財前さん、柳くんと付き合ってるじゃない?」
「それがアンタらに何の関係があんの?」
「柳くんは皆のものなのにさ〜、財前さんみたいな子が柳くんの隣にいるのが許せなくって」
「は?」
「そうそう。だいたい財前さんって地味で、1人じゃ何にも出来ないのに、ちょっと幸村くんに気に入られてるからって調子のって、柳くんとずっと一緒にいてさ」
突然飛び出してきた「幸村くん」が誰かは知らんが、なんでこの子らに結奈ちゃんと柳くんの関係を否定されないとアカンの?
「あなたもだよ、波多野さん」
「私?私が何よ?」
「仁王くんと付き合ってるみたいだけど、あんまり調子にのらないでよ」
「仁王くんのファンクラブの子達、すごく傷ついてるんだからね」
なんで、なんも知らん人間にこんなに責められてるんや?
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mizuki(プロフ) - こんばんは!初めましてみずきです。そして明けましておめでとうございます!この小説の更新を楽しみにしています!!これからも宜しくお願いします! (2019年1月1日 23時) (レス) id: cdcb52c135 (このIDを非表示/違反報告)
凛樹(プロフ) - グレイさん» 初めまして、コメントありがとうございます!デート...、必ずどこかのタイミングで書きますね\( 'ω')/ (2018年12月10日 7時) (レス) id: 1df7087ebd (このIDを非表示/違反報告)
グレイ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます、いつも楽しく読んでおります。是非主人公と仁王君のデートが見てみたいです! (2018年12月10日 5時) (レス) id: e55dd05625 (このIDを非表示/違反報告)
凛樹(プロフ) - ちょす。さん» 初めまして!コメントありがとうございます!社畜成人済み同士是非とも仲良くしてください\( 'ω')/ (2018年11月28日 0時) (レス) id: 1df7087ebd (このIDを非表示/違反報告)
ちょす。(プロフ) - 連載がはじまったすぐに目をつけておりました!面白いです。引き込まれます‥仁王くんともっとイチャついてええんよ‥!更新楽しみにしてます。無理はなさらないで下さいね!私も社蓄・成人済みでお仲間ですね!(おい) (2018年11月27日 14時) (レス) id: f394a39ee6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛樹 | 作成日時:2018年10月28日 2時