3 ページ5
.
.
「ねぇねぇ」
始業式が終わり体育館に戻る途中、後ろから声をかけられ振り返る。
後ろにいたのは平均より少し小さめな身長で、目のぱっちりした女の子だった。
「Aちゃん、大阪から来たの?」
「え、うんそうやで」
「私、大阪に従兄弟いてるの!」
「へえ〜そうなんや」
「私、結奈!よろしくね」
「こちらこそよろしく」
神奈川に来て最初に出来たお友達。
とっても可愛い女の子。
「Aちゃん、凄く綺麗な金髪だね!大阪で染めたの?」
「あー、これな。私のお姉ちゃん美容師やねん」
髪の毛を1束掴んで答える。
あの日、ヤケ起こして染めた髪の毛。
出来上がりにはホンマに満足してるんやけど、実を言うと少し後悔している。
私はこの金髪を見る度に、アイツのことを思い出すことになるのだ。
「Aちゃん、関西弁だから従兄弟と話してるみたい!」
目をキラキラさせて、結奈ちゃんは言う。
アイツも私みたいな可愛らしくない女より、結奈ちゃんみたいな小さくて可愛らしい子が好きなんやろうか。
きっとそうやな。
って私は何を考えてるねん!
もうアイツのことなんかキレイさっぱり忘れるんや。
「それにピアスもあけてるんだね、私の従兄弟と同じ〜」
結奈ちゃんはいいな〜なんて言いながら楽しそうに笑う。
その時だった。
「ピアスは校則違反だが?」
急にどこからか声をかけられた気がして周りを見渡すと、めちゃくちゃ老け顔の人が立ってた。
「だれ…?」
制服を着ているからたぶん学生なんだろう。それは分かる。
「あ、真田くん。いいじゃない、似合ってるもん」
「おい、財前。風紀委員なのだから規則は守るように呼びかけて貰わないと困るのだが…」
困ったように老け顔の彼は続ける。
いや、ちょっと待って。
「財前…?」
「あれ、言ってなかったっけ?私の苗字、財前って言うの」
財前…どこかで聞いたことあるような…
財前…ざいぜん…ザイゼン…
『ほら、財前挨拶しいや 』
『どもっス 』
せや、思い出した…黒髪ピアスの彼は確か…
「なあ、もしかしてやけど」
「どうしたの?」
「あの、結奈ちゃんの従兄弟ってもしかして四天宝寺っていう学校でテニスしてたりしやん…?」
「え?してるよ〜!なんでそんなこと知ってるの?」
やっぱり…世間ってこんな狭くていいんですか、神様。
「なんの話しをしているのだ?」
老け顔の彼はよく分からないというように、首を傾げた。
142人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「テニスの王子様」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mizuki(プロフ) - こんばんは!初めましてみずきです。そして明けましておめでとうございます!この小説の更新を楽しみにしています!!これからも宜しくお願いします! (2019年1月1日 23時) (レス) id: cdcb52c135 (このIDを非表示/違反報告)
凛樹(プロフ) - グレイさん» 初めまして、コメントありがとうございます!デート...、必ずどこかのタイミングで書きますね\( 'ω')/ (2018年12月10日 7時) (レス) id: 1df7087ebd (このIDを非表示/違反報告)
グレイ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます、いつも楽しく読んでおります。是非主人公と仁王君のデートが見てみたいです! (2018年12月10日 5時) (レス) id: e55dd05625 (このIDを非表示/違反報告)
凛樹(プロフ) - ちょす。さん» 初めまして!コメントありがとうございます!社畜成人済み同士是非とも仲良くしてください\( 'ω')/ (2018年11月28日 0時) (レス) id: 1df7087ebd (このIDを非表示/違反報告)
ちょす。(プロフ) - 連載がはじまったすぐに目をつけておりました!面白いです。引き込まれます‥仁王くんともっとイチャついてええんよ‥!更新楽しみにしてます。無理はなさらないで下さいね!私も社蓄・成人済みでお仲間ですね!(おい) (2018年11月27日 14時) (レス) id: f394a39ee6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:凛樹 | 作成日時:2018年10月28日 2時