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それはAと仁王が帰路に着く少し前に遡る。
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いつも通り少し埃っぽい図書室の扉を開ける。
当たり前だが考査期間でも何でもない放課後の図書室には、やる気がなさそうに欠伸をしている図書委員の生徒と、それから分厚い本を読む見るからに真面目そうな生徒が数人いるだけだった。
1番窓際、入口から最も奥にある本棚に私は向かう。
本棚と本棚のあいだにちょうど人ひとり分くらいの隙間がある。
そこから見えるテニスコート。
誰も知らない、私だけの特等席。
いつものように窓からコートを眺める。
コートの端には目立つ金髪。
あれはきっとAちゃんだ。
暫くすると数人の女子達に囲まれるAちゃん。
囲んでいるのはファンクラブの子達だろう。
けれど、逃げていくのはファンクラブの子達の方で。
Aちゃんは堂々としていて強い。
あの綺麗な金髪も、両耳に光るピアスも、すっと伸びた背筋も、キリッとした目元も、何もかもAちゃんの強さの現れみたいだと思った。
だからきっとファンクラブの子達なんて、気にもせずあのテニスコートに近づけるんだ。
それに比べて私はどうだろうか。
ファンクラブの子達が怖くて、こんな場所からただ眺めているだけ。
本当は、私だって。
昔みたいにフェンス越しで蓮二の姿を見ていたい。
だけどそれは。
嫌がらせされる事と引き換えになってしまう。
弱い私は虐められるのが怖くて、嫌がらせされるのが嫌で。
こんなところに隠れている。
「私もAちゃんみたいに強かったらなぁ…」
ポツリと漏れた独り言は余計に私の弱さを表しているみたいだった。
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mizuki(プロフ) - こんばんは!初めましてみずきです。そして明けましておめでとうございます!この小説の更新を楽しみにしています!!これからも宜しくお願いします! (2019年1月1日 23時) (レス) id: cdcb52c135 (このIDを非表示/違反報告)
凛樹(プロフ) - グレイさん» 初めまして、コメントありがとうございます!デート...、必ずどこかのタイミングで書きますね\( 'ω')/ (2018年12月10日 7時) (レス) id: 1df7087ebd (このIDを非表示/違反報告)
グレイ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます、いつも楽しく読んでおります。是非主人公と仁王君のデートが見てみたいです! (2018年12月10日 5時) (レス) id: e55dd05625 (このIDを非表示/違反報告)
凛樹(プロフ) - ちょす。さん» 初めまして!コメントありがとうございます!社畜成人済み同士是非とも仲良くしてください\( 'ω')/ (2018年11月28日 0時) (レス) id: 1df7087ebd (このIDを非表示/違反報告)
ちょす。(プロフ) - 連載がはじまったすぐに目をつけておりました!面白いです。引き込まれます‥仁王くんともっとイチャついてええんよ‥!更新楽しみにしてます。無理はなさらないで下さいね!私も社蓄・成人済みでお仲間ですね!(おい) (2018年11月27日 14時) (レス) id: f394a39ee6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛樹 | 作成日時:2018年10月28日 2時