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「…」
「…」
テニス部の皆と別れて私は仁王くんと二人きり。
特に何を話すでもなく、私たちは無言で歩く。
「A」
不意に名前を呼ばれて、私は俯いていた顔をあげる。
「な」
なに、と言おうとした私の言葉は仁王くんの唇によって塞がれる。
いくらもう日が暮れて、人通りがないからって道端でいきなりキスしてくるのはどうかと思うわ。
1度で終わるかと思ったキスは角度を変えて何度も何度も繰り返される。
コイツやっぱり頭イカれてる。
息が持たない、と思い僅かに唇を開いたのをこの男は見逃さへんかった。
すかさず割り込んでくる舌に私はいよいよパニックを起こす。
え、待って今、何が。何が、起きてんの。
彼の舌は私の歯列をなぞる。
「っ…ぁ…」
頭がクラクラする。
せめてもの抵抗と思い、舌を引っ込めようとする私を、仁王くんは逃がしてはくれへん。
私の後頭部を左手で押さえつけると、私の舌をいとも簡単に仁王くんのそれは絡めとる。
「はぁ…っ…ん…」
このままやられっぱなしなのは私のプライドがどうしても許さん。
仁王くんの舌を甘噛みする。
「った…」
突然の出来事に仁王くんは私から顔を離す。
「はぁっはぁっ」
私は乱れた息を整えるために深呼吸を何度も繰り返す。
「舌噛むとかありえんぜよ」
不機嫌そうな仁王くんに私はさらに不機嫌そうに言い返す。
「こんな道端でいきなりキスしてくる方がありえへんわ!」
「別にええじゃろ」
「全然良くないわ!誰かに見られたらどないすんねん!!」
「見せつけてやったらええ」
「そういう問題ちゃうわ!アホ!」
「アホはAの方ぜよ」
「はぁ?私のどこがアホやねん」
「おまんの彼氏は誰じゃ?」
「は?」
「だからおまんの彼氏は誰じゃって」
「仁王雅治」
そう言えば目の前の男は納得したように頷く。
「当たり前じゃき」
「は?何が言いたいん?」
「自分の胸に手を当ててよーく考えてみんしゃい」
何言っとるんやこの銀髪。
私、アホ呼ばわりされるようなことしてへんで。
私に考えさせるだけ無駄やと気づいたんか、仁王くんは口を開く。
「赤也に2回も抱きつかれとったじゃろ」
「別に私、赤也くんのこと好きちゃうけど」
「俺から見れば」
そこで仁王くんは私の手を力強く、だけど優しく握った。
「赤也だって十分男じゃ」
「はぁ…」
「それに」
仁王くんはまた唇が触れそうなくらい私に顔を近づける。
「赤也だけ名前呼びなんも気に入らん」
「…子どもか」
「ピヨ」
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mizuki(プロフ) - こんばんは!初めましてみずきです。そして明けましておめでとうございます!この小説の更新を楽しみにしています!!これからも宜しくお願いします! (2019年1月1日 23時) (レス) id: cdcb52c135 (このIDを非表示/違反報告)
凛樹(プロフ) - グレイさん» 初めまして、コメントありがとうございます!デート...、必ずどこかのタイミングで書きますね\( 'ω')/ (2018年12月10日 7時) (レス) id: 1df7087ebd (このIDを非表示/違反報告)
グレイ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます、いつも楽しく読んでおります。是非主人公と仁王君のデートが見てみたいです! (2018年12月10日 5時) (レス) id: e55dd05625 (このIDを非表示/違反報告)
凛樹(プロフ) - ちょす。さん» 初めまして!コメントありがとうございます!社畜成人済み同士是非とも仲良くしてください\( 'ω')/ (2018年11月28日 0時) (レス) id: 1df7087ebd (このIDを非表示/違反報告)
ちょす。(プロフ) - 連載がはじまったすぐに目をつけておりました!面白いです。引き込まれます‥仁王くんともっとイチャついてええんよ‥!更新楽しみにしてます。無理はなさらないで下さいね!私も社蓄・成人済みでお仲間ですね!(おい) (2018年11月27日 14時) (レス) id: f394a39ee6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛樹 | 作成日時:2018年10月28日 2時