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「真田くんも大変そうやねぇ」
嫌味と皮肉をたっぷり込めて言ってやれば、
「分かっているなら少しは協力して欲しいものだな」
真田くんは呆れた顔のまま、皮肉で返してくる。
「やっぱり私は邪魔やって言いたいんやな」
「別にそういう意味では」
そこで私は先日、蔵ノ介くんに伝言を頼まれていた事を思い出した。
「そう言えば」
私が言葉を続けるより先に、いつの間にか柳蓮二までいる。
「四天宝寺の白石くんが、幸村くんお大事にって言うてたよ」
「お前、何故それを」
真田くんはとても怪訝そうに顔を顰めた。
「波多野は白石と知り合いなのか」
それは興味深い、と続けながら柳くんが薄く目を開いた。
「私、元々四天宝寺の生徒やから」
「ほう」
柳くんは手持ちのノートにすらすらと何かを書き込んでいく。
常々思うんやけど、何で結奈ちゃんはこんなヤツと3年も付き合ってるんやろう。私には無理やな。
「波多野…お前今失礼な事を考えなかったか?」
ノートに何かを書き続けながら、柳くんが言う。
「えっ?い、いや別に…」
なんやコイツ。心でも読めるんか?おそろし…。
「ところで幸村くんって誰なん?」
話を逸らそうと、「幸村くん」の事に話題を変えようとする。
が、
「お前には関係ない」
真田くんにピシャリと言い返されてしまった。
「ふーん。あ、そ」
「随分と諦めが早いのだな」
意外だったのか、真田くんが少しだけ驚いた顔をしながら聞いてくる。
「いや…人には言いたくないこともあるやろ」
もちろんそれは私にもあるし。
「参謀も真田も俺の姫さんいじめんでくれんかの」
いつの間にいたのか、仁王くんが私を後ろから抱きしめて言う。
「仁王!破廉恥な!!」
真田くんは鬼の形相やけど、当の仁王くんは何処吹く風といった様子。
「面白いデータが取れた」
隣の柳くんは心なしか嬉しそうに見える。
ホンマにここは揃いも揃って変人しかおらんな。
「仁王くん、暑い」
溜息混じりに仁王くんを引き離そうとするが、なかなか離れてくれない。
「さっき赤也にもされとったじゃろ」
彼は私の耳元で不機嫌そうに囁いた。
もしかしてこの銀髪は思った以上に独占欲が強いのかもしれない…。
面倒なヤツに目をつけられた上に面倒な連中に巻き込まれた。
まあそれは四天宝寺におる時からそうやったんやけど。
アイツ、今頃何してるんやろ…。
不意に忘れかけていたアイツの事を思い出し、私は誰にも気づかれないようにそっと睫毛に翳を落とした。
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mizuki(プロフ) - こんばんは!初めましてみずきです。そして明けましておめでとうございます!この小説の更新を楽しみにしています!!これからも宜しくお願いします! (2019年1月1日 23時) (レス) id: cdcb52c135 (このIDを非表示/違反報告)
凛樹(プロフ) - グレイさん» 初めまして、コメントありがとうございます!デート...、必ずどこかのタイミングで書きますね\( 'ω')/ (2018年12月10日 7時) (レス) id: 1df7087ebd (このIDを非表示/違反報告)
グレイ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます、いつも楽しく読んでおります。是非主人公と仁王君のデートが見てみたいです! (2018年12月10日 5時) (レス) id: e55dd05625 (このIDを非表示/違反報告)
凛樹(プロフ) - ちょす。さん» 初めまして!コメントありがとうございます!社畜成人済み同士是非とも仲良くしてください\( 'ω')/ (2018年11月28日 0時) (レス) id: 1df7087ebd (このIDを非表示/違反報告)
ちょす。(プロフ) - 連載がはじまったすぐに目をつけておりました!面白いです。引き込まれます‥仁王くんともっとイチャついてええんよ‥!更新楽しみにしてます。無理はなさらないで下さいね!私も社蓄・成人済みでお仲間ですね!(おい) (2018年11月27日 14時) (レス) id: f394a39ee6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛樹 | 作成日時:2018年10月28日 2時