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放課後。
初めてテニス部の見学に来た。
どうせなら結菜ちゃんも一緒に。
そう思って誘ったんやけど、
「ごめん…今日はちょっと、ね」
と、断られてしまった。
その目がどこか怯えていたように見えたんは、きっと私の気のせいか。
テニスコートの周囲には、それなりの数のギャラリーがおった。
そういえば四天宝寺でもこんな光景見たような気がする。
強豪校のテニス部とはどこもこんな感じなんやろうか。
まあ四天宝寺のテニス部のギャラリーの大半は、部長・白石蔵ノ介のファンなんやけど…。
「あ、波多野!」
フェンス越しに私を見つけた丸井くんが私に手を振る。
「え?!A先輩?!?!」
どこかで聞いたような声がすると、突然何かが走り寄ってくる。
あの黒髪のクルクルは…。
「Aせーんぱいっ!!!」
いきなり飛びついてきた赤也くんを受け止めきれず、赤也くんごと私はひっくり返る。
「びっくりした…」
私は赤也くんに押し倒されてしまったような形のまま、地面に寝転がっている。
見上げれば子犬みたいな目をした赤也くんが見えない尻尾をパタパタと振っている(ように見えた)。
「え、ちょっと何あれ」
「ありえないんだけど!」
「てかあれって…」
「仁王くんの彼女の、波多野Aだよね…?」
以前丸井くんが言っていた通り、私は本当に悪目立ちしてしまっているらしい。
「赤也!練習を途中で抜け出すとはたるんどる!」
これまたどこかで聞いたことある怒鳴り声。
「げっ、真田ふくぶちょー」
赤也くんは慌てて立ち上がると、私を引っ張り起こす。
「なんだ、波多野。お前もいたのか」
真田くんは、お前何しに来た?と
言わんばかりの威圧感で私を見下ろす。
「仁王くんに誘われたんやけど」
私も負けじと真田くんを睨み返す。
「今は大事な時期だ。練習の邪魔はしないでくれるか」
「してへんけど?それとも私はおるだけで邪魔とでも言いたいんか?」
見えない火花が散ったような気がする。
私の後ろで赤也くんが、
「かっけぇ…」
と、小さく発したのが聞こえた。
「真田くん、女性にそのような態度はいけませんよ」
突如割り込んできた声に、視線をそちらに向ければ、見慣れない茶髪に眼鏡の男の人がいた。
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mizuki(プロフ) - こんばんは!初めましてみずきです。そして明けましておめでとうございます!この小説の更新を楽しみにしています!!これからも宜しくお願いします! (2019年1月1日 23時) (レス) id: cdcb52c135 (このIDを非表示/違反報告)
凛樹(プロフ) - グレイさん» 初めまして、コメントありがとうございます!デート...、必ずどこかのタイミングで書きますね\( 'ω')/ (2018年12月10日 7時) (レス) id: 1df7087ebd (このIDを非表示/違反報告)
グレイ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます、いつも楽しく読んでおります。是非主人公と仁王君のデートが見てみたいです! (2018年12月10日 5時) (レス) id: e55dd05625 (このIDを非表示/違反報告)
凛樹(プロフ) - ちょす。さん» 初めまして!コメントありがとうございます!社畜成人済み同士是非とも仲良くしてください\( 'ω')/ (2018年11月28日 0時) (レス) id: 1df7087ebd (このIDを非表示/違反報告)
ちょす。(プロフ) - 連載がはじまったすぐに目をつけておりました!面白いです。引き込まれます‥仁王くんともっとイチャついてええんよ‥!更新楽しみにしてます。無理はなさらないで下さいね!私も社蓄・成人済みでお仲間ですね!(おい) (2018年11月27日 14時) (レス) id: f394a39ee6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛樹 | 作成日時:2018年10月28日 2時