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「だからちょっと俺と付き合ってみるとかー？」
笑顔でそんなアホらしいセリフを吐く青年は、どっからどうみてもチャラ男にしか見えない。流石自分で女癖が悪いと認めるだけはあるな、と悪い意味で関心する。
「その発想はどう考えてもおかしいと思う」
確かに、恋愛ドラマにはありそう。ありそうだ。
しかし他の男と付き合う事で男の気を引くという行動がアウトなのには変わりない。仮に成功してもビッ〇だと思われるのがオチだろう。
「ドラマではありなのにー？」
「普通にアウトだと思います。相手に悪い印象与えてはい終わり」
そもそも、
「そら君の元カノやら未来カノやらファンやらも怖いし。
利用してるみたいで嫌だし」
「未来カノってなんだよ…笑」なんて呟きながらも真顔に戻ったそら君は何故か私の後ろ、カフェテリアを見渡す。
何かあるのだろうかとそっちを振り返るが、相変わらず生徒が数人に、テーブルを拭いているおばちゃんしか居ない。
「まあ、断ると思ったけどね」
そう聞こえて向きを戻すと、そら君も私に視線を向けた。
「じゃあ何で言い出したんだよ」
「ものは試し、ってね」
「おー…」
納得はしていないが、まあ、一種の冗談として受け取っておこう。そう思った矢先、そら君は唐突に距離を詰めてきた。
たまにある事だが、慣れていないし、慣れようとも思わない。
「そら君、近いで」「なら、言い方を変えるよ」
私の言葉を完全に無視しつつ、そら君は更に近づく。耳に吐息が触れたと思ったら、次には柔らかい感触。
急すぎて避ける暇も無かった私はもろに食らってしまった。耳への、キスを。
びっくりしていてもここが公共の場だという事は忘れていない私は、慌てて周りを確認する。
誰もこちらを見ていない。良かった。
次にこの調子に乗りすぎなチャラ男に文句を言おうと(というか文句なんかじゃ済まない)そら君を見上げると、にやっ、悪戯っ子の様な笑みを浮かべる彼と目が合った。
「――あいつなんてやめて、俺と付き合って？」
耳へのキスは「誘惑」
(悪戯な小悪魔の誘いなんて、本気にしたらいけません…？)
作者コメ)誘惑といえばえろちぃになりそうな感じですが、ここはあえてチャラちぃにしてみました
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作者名：花亜茶 | 作者ホームページ：https://twitter.com/chamomilue
作成日時：2017年12月22日 8時
