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「あ、そういえばAちゃんは白森が好きなのー?」
白森。同級生の白森君。大人しめでスマートでたまに見せる優しい笑顔が印象的な、白森君。
「…はぁ?」
思わず間抜けな声が出た。天気の話をしていたと思っていたら何を言いだすんだ急に。
「おー、話聞いてたんかい」
「普通に聞いてたし」
「で?好きなんでしょ?」
さっきよりも確信してるような言い方に一瞬だけ言葉に詰まるが、「いや別に」と手元に視線を落とす。
「Aちゃん嘘苦手だねー」なんて言いながらそら君はけらけら笑う。それに関しては自覚が有る分、何とも言えない。
「てか、何なわけ?恋バナしたい気分にでもなったの?」
そら君の中ではもう確定した事実になってしまったようだ。これ以上否定してもバカバカしいし更に笑われそうと判断した私は一旦諦めた。かといって肯定もしないけど。
「いえいえ、そんなAちゃんに朗報…というか、提案が有るんですよ」
正直、あまり良い予感はしない。
「白森の気を引いてみるのはどうでしょー?」
「結構です」
「スパッといったな!」
と、言われてもこういう性分なもので。
白森君を好ましく思っているのは事実でも、告白したい付き合いたい程好きなのかと問われればそうでもない。たまに喋ったりノートの貸し借りをする程度の関係で、素敵な人だなあとは思う。
でもそれはとても曖昧な好意。恋と呼ぶ事すら出来ない。
「内容位聞いてくれても良いのにさ〜」
「……あー…じゃあ内容だけ」
半ば呆れ気味に言うと、「何々この子凄い嫌そう」と苦笑しつつも楽しそうに説明を始める。
「ほら、恋愛ドラマとかにあるじゃん?嫉妬させてみれば良い、みたいなの」
大事な事なので二度言おう、良い予感がしない。
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作者名:花亜茶 | 作者ホームページ:https://twitter.com/chamomilue
作成日時:2017年12月22日 8時