耳に【そらちぃ】 ページ1
「今年は寒いねー」
窓の向こうを見上げながらそうぼやくのは、友人のそら君。
彼とは同じ選択授業を受けている内になんとなく話すようになり、こうして空きを共に過ごすまでにもなった。
近過ぎず遠すぎずな関係。それなりに仲が良い方ではあると思う、私基準では。
そら君基準がどうなってるのかは良く分からない。
社交的な彼には友達が多そうなのに、某動画サイトの活動で忙しいせいか大学で特別誰かと親しくしているのを見かけない。
知り合いが多く、誰にでも分け隔てない笑顔で接しているけれど。
私はといえば決して顔が広くないし意欲的に友達を作るタイプでもない。
口下手だと自分でも理解しているし、人付き合いが少し苦手。ぼっちという訳ではない。親しい相手が一人、二人居ればそれで満足だ。
そんな私でも気負わずに話せるそら君の気さくな性格は割と気に入ってるし、一種の才能だとも思う。
…フレンドリー過ぎないかと思う事もあるが。
私達は今、大学のカフェテリアの角のテーブルを占領している。
利用者が少なく、のんびりしていても許される時間帯。そこそこ不味めな熱いコーヒーを飲みながら私は彼の言葉に相槌を打った。
「ねー…」
気怠そうなのはそら君だけじゃない。
私も課題の仕上げと高校からの親友の長い雑談とで夜更かしをしてしまい、
微妙なコーヒーを飲んでいるのも暖を取る為だけじゃなく眠気を覚ます為でもあった。
「朝とか家の暖房ぶっ壊れてんじゃないかとおもうわー」
「ねー…」
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作者名:花亜茶 | 作者ホームページ:https://twitter.com/chamomilue
作成日時:2017年12月22日 8時