自分の物語の最後くらい

# ページ28

福良side


こうちゃんが帰ってしまったし、ついに明日は川上と須貝さんの一騎打ちか。

とは言ってもお昼までだから、きっと2人とも完走できるだろうなあ。

就寝前に皆でお酒を飲みながら少しお喋りしているとAちゃんが浴衣姿の写真を撮って欲しいとお願いしてきたから撮ってあげた。

なんとそれを水上に送るものだから幼馴染というものを羨ましく思ってしまう…

無意識に2人のトークを覗いてしまう僕は悪いやつだな……

A颯くん見てみて!
A[浴衣姿の写真]
水上颯可愛いね、浴衣が。
水上颯それカモミール?Aにぴったりだね
Aどーゆーこと?
水上颯花言葉。確か、苦難に耐える力
Aへー、颯くん物知りね!
水上颯うん、旅行楽しんで
水上颯薬だけは飲み忘れないように
Aありがとう〜!そこはちゃんとしてる!

へー、この花カモミールだったんだ、しかも花言葉まで知ってるとか水上くん物知りだな。

けど、そんなことよりも僕には引っかかることが2つ。

＜苦難に耐える力＞がAちゃんにぴったりとはどういうことなのか。なにか悩みがあるとか…？

それと、＜薬だけは飲み忘れないように＞。今まで僕達はAちゃんが薬を飲んでいるところを見たことさえない。けどちゃんとしてるってことはどこかで隠れて飲んでるってことだよね？

確かにAちゃんはたまにしれっといないことがある。その時にでも飲んでいたのだろうか。



こういうのって自分から話してくれるのを待たなきゃダメだよね……

僕はAちゃんのことが気になって気になって仕方なくてなかなか寝付けなくて、ただ布団の中に潜っているだけ。



バタン

と、ドアが閉まる音がした。こんな時間に誰が外に出たんだろう？そう思っていた矢先、川上が外に出て行くのが見えた。

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