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「そろそろお開きにする？」
「えー、まだ飲もうよ」
「あんまり留守にしてると危ないでしょ」
「でも結界張ってきたしさぁ」
3人以外の鬼や神様に出会ったことがなくて、比較対象がいないからわからないけれど、ジェシーたちの結界はかなり強いと思う。
人間である俺には何の危害も及ばないと知ってるけど、それでも結界が張られると何だか嫌な気配みたいなものを感じる。
「万が一ってことがあるの！」
「んー、じゃあ俺らも帰るかぁ…」
樹たちも面倒くさそうに腰を上げて、北斗と慎太郎に別れの言葉を告げる。
会える回数が少ない上に、会っても１日で帰らねばならないのは、少し可哀想。
じゃあな、なんて慎太郎たちのいる祠から出ようとしたときのことだった。
ピカッ！と夜空が一瞬、光る。
それが雷だと分かったのは、その後にゴロゴロと地響きのような音が震えたからだった。
思わず6人で顔を見合わせる。
みんなも、感じてるんだ。
言葉にできない、というか、してはいけない気すらする感覚。
見えていた満月が厚い雲に隠れる。
木々のざわめきが一層大きく聞こえた。
自分のちょっとした焦りとか恐怖によって、見える景色が歪んでいるのを自覚する。
「ジェシー、」
「…早く戻ろう、こーち」
「樹、俺たちも」
「うん、…一体、これは、……」
さっきまであんなにお酒を飲んでいたのに、みんなが冷静になる。
…冷静に、っていうのは違うか。
これはきっと、その「万が一」に含まれることだ。
雷は鳴るのに、雨は降らない。
ただ、分厚く黒い雲が光を遮るだけ。
生き物たちが何かに怯えるように巣や石の陰に身を潜めている。
ぴゅう、とジェシーが口笛を吹くと、真っ赤な大きな鳥がやってくる。
ジェシーの使いだ。
急いでその温かな背中に掴まり、俺たちの領域へと進む。
炎のような羽は、なんだか暗く見えた。
町を見下ろすと、幸い明るくて、停電はしていないようだった。
でも、それが逆に違和感へと繋がる。
あんなに大きな雷なのに？人間たちへの被害はない？
「こーち、大丈夫だから」
「うん」
ジェシーの呟きは自己暗示にも聞こえた。
確かな異常があって、その原因が見えない時。
それが一番、恐怖を感じる時だから。
屈強な神様の彼は、意外と臆病だと、俺は知っている。
大丈夫、はきっと俺が先に言うべき言葉だったのだ。
.
続く
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桜汰(プロフ) - thhyさん» 更新頻度が低くて申し訳ないです……。ちょっとずつですがお話進めるように頑張ります！！ (2月11日 19時) (
レス) @page6 id: 6f5ee38495 (このIDを非表示/違反報告)
thhy - 更新待ってます！ (2月3日 15時) (レス) @page5 id: 69657aab33 (このIDを非表示/違反報告)
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