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「ごめんね、こーち」
「謝んなくていいって、別に」
眉を八の字に下げたジェシーが、横たわる俺を見下ろした。
薄い色素の目はゆらゆらと不安そうにかちらを伺っている。
近付けば近付く程に、息が止まってしまうような圧倒的な力を持つ存在だとは思えない。
あの部屋、今はしっかり紫の布でこちらと隔てられている部屋に入った俺は、その力に耐えられずに倒れてしまったのだ。
もう今は元気。
大丈夫だと起き上がろうとすれば、ジェシーはまだダメだと無理やり俺を押し倒す。
相変わらず強引だ。
押し売りとも捉えられるような彼の心配性に、少し照れてしまう。
「本当にごめん。あんなに力が強いなんて知らなくて」
そりゃそうだ。
常に強く眩い力の中にいるジェシーが、その強さに気付くはずがない。
「何回謝んだよ。俺、大丈夫だから。結果オーライでしょ、ね？」
「……もう入れないから」
「……そうだね、」
心なしか、ジェシーが動く度に舞う細かな光が暗くなっている気がした。
「じゃあ、俺、しなきゃいけないかとあるから」
「あ、うん。頑張って」
ジェシーは嘘をつく時、鼻に触れる。
紫の布の奥へ消える彼の背中に、小さな祈りを捧げた。
ジェシーが“神様の仕事”をする部屋へいる時の過ごし方は色々。
俺は、部屋を出て、鳥居へ続く石段をトントンとおりた。
＿＿＿『ここにはね、誰もお参りに来ないの』
＿＿＿『皆が行くのはもっと下にある所』
＿＿＿『俺の本体には、1人も近付いてこない』
初めてここにやって来た日。
俺が神子として捧げられた日。
ジェシーは俺の目を見ることなく、そう言った。
鬼を“禁忌”だとして深い山奥に閉ざす。
神を“信仰対象”だとして深い山奥へ崇め奉る。
どちらも人から隔てられるという点では同じなのかもしれない。
ジェシーは寂しがりやだから、俺だけは彼に近付きたい。
隔てていない。避けていない。
そう、伝えるのが神子の仕事なんじゃないかって。
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桜汰(プロフ) - thhyさん» 更新頻度が低くて申し訳ないです……。ちょっとずつですがお話進めるように頑張ります！！ (2月11日 19時) (
レス) @page6 id: 6f5ee38495 (このIDを非表示/違反報告)
thhy - 更新待ってます！ (2月3日 15時) (レス) @page5 id: 69657aab33 (このIDを非表示/違反報告)
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