. ページ16
その日の夜。
今日は阿部ちゃんとご飯だから、とこーちは言っていた。
阿部ちゃんは友達なんだから、2人で外食に行ったって咎めることはない。
だけど、それですら嫌だと思ってしまうのは何でだろう。
こーちを片時も離れさせたくない。
そう思うのは俺が子供だから？
もっと、大人になりたい。
こーちがいない部屋のベッドに腰掛ける。
あの夜よりは幾分か太く満ちてきたとはいえ、小窓から見える月は満月とは程遠い。
宇宙には数多の星があるのに、ここからじゃ1等星が少し見えるだけだ。
近くの林でフクロウが鳴いている。
夜だよ、こーち。もう真っ暗なんだよ。
早く、帰ってきて。
泊まるなんてことは言ってなかったのに(言われても、泊まりは絶対許さないけど)、こーちが帰ってくる気配はない。
もしかして、俺に呆れた？
仕事に私情を挟んで断ろうとしたから。
いつまで経っても幼稚で、余裕がなくて、こーちを縛り付けてしまうから。
「……っ」
ぐぅ、と何かがわきあがる。
悲しい。苦しい。辛い。
色んな負の感情が一気に押し寄せて、逃げ場を失う。
こーち、早く戻ってきて。
カレンダー、作っていいから。
SixTONES皆で作ろうよ。
「ただいま」
「こーち！おかえりっ」
「起きててくれたの？悪いな」
起きてるに決まってるじゃないか。
その言葉の代わりに、こーちの細い体を力いっぱい抱き締める。
華奢な彼は犬みてぇ、と呟きながら俺の腕の中で身を捩った。
こーちからはお酒の匂いが仄かに香る。
お酒弱いくせに。
「こーち、カレンダーのことなんだけど」
「あー、お前がどうしてもって言うなら引き受けないけど……」
「ううん、いい」
「へ？本当に、いいの？」
「うん。でもね、約束。絶対に際どいとこは見せないで」
入浴の準備でバスタオルを抱えたこーちは、際どいとこ？と聞き返す。
そういうところだよ。
お願いだから危機感持って。
俺の焦燥なんて知らない、愛しい契約者は例えば？って首を傾げた。
可愛い。可愛すぎる。
「例えば……こういうとこ、とか」
スルリ、と中指で太腿のラインをなぞれば、すぐに顔が赤くなる。
「言われなくてもそんなとこ撮らせねーから！」
「えー、ほんと？」
「……お前以外に見せるわけねぇじゃん」
え、ちょっと待って。今の聞き間違いじゃないよね。
ばくばくと今までにないくらい速くなる鼓動に戸惑っていると、こーちは風呂場に行ってしまった。
.
ラッキーSixTONES楽曲
共鳴
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 519人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜汰(プロフ) - ねろさん» はじめまして。とても嬉しいです😳 やっと決心がついたので移行してみました！今後もお楽しみください〜〜 (2022年11月19日 16時) (
レス) id: f89db1ff86 (このIDを非表示/違反報告)
桜汰(プロフ) - しまりすさん» 嬉しいです、ありがとうございます！！ようやく勇気が出たので移行してみました。移行先でもよろしくお願いします〜！🙇♀️ (2022年11月19日 16時) (レス) @page49 id: f89db1ff86 (このIDを非表示/違反報告)
ねろ - はじめまして、お話が更新される度とても楽しく読ませてもらってます。どのお話も素敵で何度も読み返せるくらいだいすきです！無理しないペースでやるのが1番ですよ！頑張ってください！応援しています！ (2022年11月14日 23時) (レス) @page49 id: ba7046e338 (このIDを非表示/違反報告)
しまりす(プロフ) - はじめまして、いつも楽しませていただいてます。続編できたら読みます！絶対に！！ストーリー本編も日常編(？)も大好きなので、続きが読めることを楽しみにしております😌 (2022年11月12日 22時) (レス) id: 87420e95c3 (このIDを非表示/違反報告)
桜汰(プロフ) - 一之瀬@tskさん» jsygがどうしてもメインになりがちなのでそう言ってもらえると本当に嬉しいです！ありがとうございます！！！ (2022年11月9日 21時) (レス) @page39 id: f89db1ff86 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
