…35…。〜回想〜 ページ35
『望、望!』
俺を抱き起こして揺さぶる流兄の手を、力を振り絞って握る。
流兄が触れるだけで傷が痛むけど、何とか気を保った。
『わかるか?すぐ先生呼ぶからな、』
「…、嫌…や、…、だいじょぶ…やから…、」
『…少し待っとって、』
流兄の口調が少し強くなって、流兄の暖かいジャケットを敷いた床に寝かせられる。
体力は限界やけど、目を閉じたらまた水をかけられるような気がして、焦点が合わへんまま流兄の後ろ姿を見とった。
『…お前ら、何したん、』
その場で固まる先輩たちに、今まで聞いたことがないくらい冷たい声を放った。
俺も少し怯えながら見とると、流兄が拳を構えて俺を殴っとった人たちの方へ向かっていく。
…まさか…、
「…、流、にぃ…っ、…」
『っ、望?』
少し触れるだけで痛む体を、無理に動かして流兄の腕をつかむ。
「…やめて…っ、…流にぃ…っ、…」
流兄が、人に恐怖を与える側になってほしくなかった。
俺が知る中で、暴力を振るうのは最低な人ばかりやったから。
『望がこんな傷つけられて、こいつら見逃してええんか?』
「…、っ、全部、俺のせいやから…っ、…」
『離してや、一発でも殴らんと俺の気が済まへん、』
「…、やめて…っ、…」
必死の思いで、流兄にすがりつく。
自分の体のことなんて、そんなん気にしてられへん。
「…、そんなことしたら、…流兄も、同じになってまう…っ、」
『…望…、』
流兄の拳がそっと解かれたのと同時に、流兄の足元に倒れ込んだ。
そこから先の記憶は、しばらくあらへん。
流兄も、あんまり教えてくれへんし…
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むーみん - このお話切なくて、でも兄弟がお互いをとても思いやっていて大好きです。のんちゃが元気になってふたりに優しい未来が訪れますように。あうす様、がんばってください。り (2018年9月27日 22時) (レス) id: 179547feb9 (このIDを非表示/違反報告)
マリオ - 更新頑張ってください(^ν^) この作品大好きです! (2018年8月2日 3時) (レス) id: 92480d0cbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あうす | 作成日時:2018年4月25日 4時