14話 ページ14
「広瀬に依存しきっていた俺は彼がいなくなった現実に耐えられなくて、倒れたんだろう？
そして、その倒れた先の夢の世界で自分の理想の世界造り上げた。広瀬春樹はただの友達で、いじめっ子はただのクラスメイトで……。
けれど、そんな俺にも違和感だとか俺に対する不満とか苦しみとかが残っていて、それらがこの事を引き起こした。熱くて優しかった先生に冷血な事を言わせて、鈴原に支えてもらって、広瀬を頼っていた奴らにも本音とは真逆の事を言わせた。
そして、もう一人の俺をつくった」
男子生徒……いいや、�牴境瓩呂Δ鵑Δ鵑反爾�相槌をうつ。ここまでの考えで間違いはなさそうだ。
「情けなくってボロボロのいじめられていた頃の俺。それがお前なんだろう？」
「正解。俺は君が想像した自分自身だ。いじめられていて情けなかった頃の俺さ」
怪我だらけの顔に、垣間見える包帯。実際の俺はここまで酷くはなかったが、心はこれぐらい……いいや、これ以上の傷を負っていたんだろう。それを表したのが目の前にいる�牴境瓩澄�
「忘れたかったんだ。何もかもを。けど、忘れられなかった。広瀬が俺を救ってくれなければ俺はいつまでも暗い場所にいただろし、だからこそ……広瀬を救えなかった事が腹ただしかった」
広瀬は助けてとは言わなかった。
俺も助けてとは言わなかった。
広瀬は助けてとは言わなかったが、助けてほしいというサインを何度も出していた。
俺はそれに気が付かないフリをした。
助けられなかったとき、恨まれるのが怖くって。
助けられなかったとき、拒絶されるのが怖くって。
だったら、最初から気が付かなければいい。
「気付かないフリをした結果は？」
「平和な日常が続いた。そのかわり、大事な人がいなくなった」
大事だった彼は、ある日首を吊った。
「ここに閉じこもった感想は？」
「言いようのない気持ち悪さがあった」
それは、彼への思い。
「お前は目覚めたい？」
「勿論」
そう言うと、彼は優しく微笑んで、あたりが光輝き始める。
目が眩むような輝きを感じながら、俺は意識を手放した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：朝霧 | 作成日時：2016年3月11日 23時
