怪しいお仕事と恋の行方 (ページ43)

今日:40 hit、昨日:56 hit、合計:125,933 hit

42 ページ43

・

商人たちは大抵、有名どころなら相手の顔を覚えている。

そうじゃない私たちが目立つのは当たり前のことでそれを避けるためにもなるべく気配を消しているのに…

『…もう少しブスにすればよかったかな』

HS「？」

私の完璧すぎる化粧と訓練のおかげでホシは周りから注目の的だ。

視線が痛いくらい。

『ホシのせいだからね』

HS「絶対俺だけじゃないからな」

『？』

HS「分かんないならいい」

『うん？…あ、いた』

事前にソアさんから顔は教えてもらっていた。

派手なスーツに身を包んでも似合っているその姿は確かにイケメンだ。

『よし、行くよ』

HS「この声のトーンなら多少は出してもいいか」

『オカマちゃんだね』

HS「話せって言われたらどーすんだよ！」

『ま、なんとかなるって』

作戦会議もそこそこに、
ターゲットのチ・ヘジンに近づく。

『チ・ヘジンさんですか？』

HJ「そうだよ。君たちは…」

『私はリンと申します。この子はホンファ』

HJ「中国人？」

『私は韓国人ですがホンファは中国人でまだ韓国語が拙いので…』

HJ「そっか。
このパーティーには初めて？」

『はい。最近まで中国で仕事をしていまして、今日はホンファを連れてパーティーに参加したんです』

HJ「今日参加したのは気まぐれかな」

『いえ、チ・ヘジンさんの噂はよく聞くものですから』

HJ「噂？」

『商売交渉が巧妙、容姿も素敵な男性で、1度会った女は全員あなたの虜になってしまう、と』

HJ「へぇ、」

私の話す言葉に満足気にニヤニヤと笑い頷く。

正直、こんな話テキトーなんだけど。

HJ「で、わざわざ僕を見にパーティー参加したと？」

『はい』

HJ「それは嬉しいなぁ、こんな美人に興味を持ってもらえるなんて」

『！』

げっ…さすが手が早い。

チ・ヘジンは私の腰にスルッと手を回すと、自分の体に引き寄せた。

『それでホンファがあなたのことを知りたがっていまして』

HJ「1度に2人の美人と話せるなんて幸運だね」

『ホンファは韓国語は拙いですけど…

他のことは最高に上手です』

HJ「へぇ、」

腰に掛けられた手を優しく撫で、耳元で囁くと明らかにその気なった目でホシを舐めるよう見た。

よし！これでこいつの気はホシに移った。

私は程よく話してからこの場を去ろう。