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しばらく沈黙が続いたまま…というか駅から私の家に着く最後までずっと沈黙だった。
マンションの目の前に着いて車が停まった。
『上がっていく？』
HS「いや…だいじょ、あ」
言いかけた言葉に落ち込むまえに、何かを思い出したようなスニョンにわずかな希望が見えた。
HS「Aに、その…プレゼント、があって」
『プレゼント？』
HS「結構多いんだよね。Aはキャリーケース引いてるから持たせる訳にもいかないし」
とりあえず家に運ぶ。
そう言って近くの駐車場に車を停め直すスニョン。
その間、嬉しかったけど、後ろから出てきたプレゼントの数を見れば、その気持ちは焦りに変わった。
というのも私が想像していた以上に個数があって、なにか記念日でも私は忘れているのだろうかと必死に頭を働かせる。
…やっぱり分からない。
これは正直に言った方がいいかもしれない。
『スニョン、ごめん。今日って何かの記念日だっけ？
私、覚えてなくて』
HS「いや？」
『え、じゃあ、なんでこんなに…』
HS「…き、気分」
『そう、なんだ』
なぜかスニョンまで戸惑っていて、お互い気まずい雰囲気のままエレベーターを上がって家に入る。
『あ、ありがとう』
HS「ん。とりあえずここに置いておくね」
『うん…』
HS「…」
こんな状況になるなんて付き合って以来初めてのことで、私もスニョンもどうしたらいいか分からず、玄関に立ち尽くすばかり。
そうすると、俯いていたスニョンがバッと顔を上げて私と思いっきり目が合う。
HS「俺はAが好きだよ」
まさかそんな事を言われると予想していなかった私は、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしているかもしれない。
HS「だから…好きだから、思ってることは全部じゃなくてもいいから大体知りたい」
『…大体でいいの？』
HS「本当は全部がいいケド…」
『ふふっ』
HS「Aが今まで婚約者がいた事を言わなかった理由は…ごめん、理解できない。
だけど、Aなりの考えがあって、その考えは俺の事を想ってくれたが故だと思うことにした」
『スニョン、』
HS「でも、寂しかったんだ。俺はAのこと…
なんでも知っている気でいたから」
両脇にぶら下がっている手がぎゅっとまるまって握りこぶしを作った。
その手をとっていいものか迷ったけど、きっと私がそうしたところで何も悪いことは起きないだろう。
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作者名：おてて | 作成日時：2023年3月10日 17時
