マフィアの君と買われた私 (ページ7)

今日:18 hit、昨日:13 hit、合計:147,135 hit

7 ページ7

あれから数日、特に不憫もなく暮らしていた。

寝たかったら寝る、お風呂に入りたかったら入る、お腹がすいたら食べる、本を読みたかったら本を読む。

自分が今まで過ごした過去を見比べてみるとここは天国のように穏やかな場所だ。

ただ1つ問題がある。

〝僕のそばにいてよ〟

そう言ったはずの男は、あれからずっと見ていない。

『僕のそばにいてよって言ったくせになんなのよ』

別に気にしてなんかないし、妙なことを言ったまま居なくなったから癪に障るだけだし。

そう思いつつも、逃げないのは気力がないだけ。帰る家もないから。

そう、逃げないのはそういう理由だから。

そうに決まってる。

MH「あれ、てっきりいなくなっちゃうと思ってたんだけど」

急に部屋のドアが開き、男が入ってきた。

ノックくらいしてよ…

MH「監視も付けてないし、逃げようと思ったら逃げれたんじゃないの？」

『別に、帰る家もないし。ここは今まで生きてきたところよりもずっと良いから。ただそれだけ』

MH「そっか、僕はそばにいてほしいと思ってるから全然良いけどね」

相変わらずの微笑みを見せる男。

『そう言って全然いないくせに』

MH「え？」

『え、あっ…』

今、私は何を言ったの…

自分でも言ったことに驚いたのに、不幸にもぼそっと呟いた私の言葉は男に届いてしまった。

MH「僕がいなくて寂しかった？」

『はぁ？！そんなわけない！』

MH「でも、今のAは拗ねてるようにしか見えないよ？」

絶対ない。拗ねてるとか絶対ない！！

『な、何にも思ってない！』

そう言っても徐々に距離を詰めてくる男。

MH「可愛い、」

そう言って私の頬を撫でる男の雰囲気が魅惑的でクラっとする。