甘味処.弐 ページ4
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「そういや蜜璃ちゃん、最近伊黒さんとはどうなったの?」
にひ、と口角を上げてAは言う。くっつきそうでくっつかない、焦れったい2人の関係性がとても気になるのだ。
綺麗な洋風の机の下で、Aは足をゆらゆら揺らした。
「…………いっ、伊黒さん?伊黒さんはね、えっと」
「お食事行ったりしました?」
「お、お食事…………うん、ちょっとだけだけどね」
「何か言われた?」
「た、た、べる顔が可愛らしいな、って」
顔を真っ赤にして答える蜜璃に、しのぶは良かったじゃないですか!と笑いかける。Aも、隣でぶんぶん首を振り回した。
(そうかー………進歩をとても感じる………)
「伊黒さんに、蜜璃ちゃん泣かせたらぶっ飛ばすって言っとくね!」
「私もお供してよいでしょうか」
「うん、一緒にぶっ飛ばそ」
ぷしゅー、と空気が抜けた風船の様にしぼむ蜜璃を見て、Aはにっこり微笑んだ。
照れ隠しのためか、蜜璃は桜餅を50個頼んだらしい。彼女の食欲に尽きはあるのだろうか。
ーーー
「Aちゃんは何かないのかしら?」
「…………うーん、私かぁ」
「せっかく集まれたんだから、皆で恋バナしたいじゃない〜」
「___無一郎くんが可愛い」
いわゆる、口が滑った、とかではない。
至って真面目な顔で言うAだが、彼女はそれしか思い浮かばなかったのだ。
ぽかーん、とする蜜璃としのぶ。当たり前だ。
あまりに急過ぎた。
「無一郎、くん?」
「可愛いです」
「あの子は__可愛いというよりかは、無口という印象が強いですね。私は」
霞柱__時透無一郎。顔は確かに物凄く可愛らしいが、中身で苦手意識を持っている人多数。
しのぶでさえも、朧気な記憶と掴みどころのない性格で、どう接すればよいか分からない人だ。
「分かるわぁ、ちょこちょこしてて可愛いわよね」
「そうなんだよね、ほんっっっとに顔が可愛すぎて」
「そうだったんですね………あれ、時透くんと喋られた事ありましたっけ」
はて、としのぶは首を傾げる。柱になって間もない彼女だから、もしかしたら恥ずかしくて喋れないという事もあるかも知れない。
しのぶは柱としても歳としても、彼女よりは歴がある。もし恥ずかしいなら、多少のアドバイスは出来るだろう。
「………私が一方的に話しかけてるだけと言いますか……その___」
その後に続く予想外の話に、しのぶと蜜璃は驚愕した。
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作者名:あられ | 作成日時:2022年6月12日 13時