14歳差を。（n.qrse）

気まずい。 ページ25

何が起こったのか分からなくて
マヌケ顔のままnqrseちゃんを見送る私。

周りの視線も、会場の熱狂も雑音も全部、頭から抜けてしまって


『ぺ、ん、え。nqrse、ちゃん』

単語を並べただけの言葉が口から漏れて、空っぽになった右手を、ぎゅっと握りしめた。

nqrseちゃんの手に渡った私のペンライト

黄色だったのに、ピンク色に変わっていたのは


何か意図でもあったからなのだろうか。

ーーーーー

"nqrseさん握手会はこちらでーす、"


本能的に、足が動く。


センラさんに色指定されて
ペンラをnqrseちゃんに盗まれて

盛りだくさん過ぎたLIVEに、私はまだついていけてなかったのだ。

でも

キャッキャと騒ぐ私よりも年上っぽい女の人の声に目を覚まされる。

ここLIVEじゃん考えてどうする
考えるのは家でだよ、私


あの人黄色なのに、なんて声は無視して
何も考えず、脳みそを破壊しながら、列へと並んだ。

ーーーーー

『失礼、します』

n「っあ」

A、と柔らかい声色で笑うnqrseちゃん。白い床と天上、真ん中に座っているピンク色。ここに来るのも、何回目なのだろう。

『nqrseちゃん、今日もかっこよかったです。』

なんとなく、気まずくて

ペンラのことは触れず、服装の事にも触れられず。ただ在り来りなこと。

n「うん、ありがとう」

『あと、えっと、可愛かったです』

n「、うん」

まつ毛を伏せて、頷くnqrseちゃん。
ふわふわな髪の毛が、いつもよりしぼんで見える気がした。

『え、と。神様みたいで。！』

n「うれしいな」

顔を引き攣らせながら、言われても。


沈黙しか降り注がない室内に、手が熱くなった。おかしい。いつもはもっと

『ほんとに、大好きです』

目を見てしっかり。
これだけは何があっても、真実。

nqrseちゃんは、活動者、として、お兄ちゃんとして。


n「それは、＿っ」

『、えっと？』

なんでもない、と苦笑い
気になる、凄く気になるけど、深入りしてはいけないような気がして。

スタッフ「時間でーす！」

『…じゃあ、また。』

スタッフさんはトラウマだ。体温計事件の時からすっかり。

n「ペンラ、ごめん」

『あっ、大丈夫です全然』

眉を下げて言うnqrseちゃんに、慌てて首を振る。

また買えばいいの

ギクシャクしたまま、nqrseちゃんにぺこりとお辞儀をして
またね、と声が聞こえたのを確認

行きたくない、ここにいたい。なんて


ペンラを返してくれなかったのはさておき、重苦しいドアを開けた。

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今日の歌い手さん

あらき

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