及川兄弟は性格が悪い。

2話《備え》 ページ10

すっかり日も暮れ、家に帰ってリビングに行くと、兄の及川徹が出迎えてくれた。

暁は兄を睨みつけるが、彼はそれに気づいていないのかそれとも確信犯なのか、にこやかな笑顔で聞いてくる。

「おー、暁〜おかえり。

今日から部活だったんでしょ？
どうだった？」

暁は、今日の出来事を思い出す。

日向がレシーブミスした球を教頭が喰らい、教頭のヅラが吹っ飛んだこと。

一年生同士の3対3の試合で勝てなければ、今後、試合には出させないと主将に言われたこと。

その試合に備えるために、明日から朝練を組まされたこと。

今日は本当に嫌なことしかなかった。

暁は不機嫌そうに、簡潔に返す。

『...体育館追い出された』

「ぶはっ、なんだよそれ！！初日からどんな悪さしたんだよ〜！うける〜！！」

『うるせえ！死ね！！！』

「理不尽！！！」

案の定兄は馬鹿にしたように、けたけたと笑う。



兄は思う存分笑った後、間抜けな顔をパタリと止めた。

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