運命に嫌われた青年-5 ページ6
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Aの優秀さに驚かされた。
教えられたことは一度できっかりとこなすもんだから、正直言って少し怖くなるほどだ。
「このようなことくらい、容易くこなせますよ。それが普通でしたので」
そうほほ笑むAに、違和感。
これは、普通などではない。異様だ。なのに、なぜ普通といえるのか、そうやって笑えるのか。…笑ってはいないか。貼り付けたような笑みなので、笑っているとはいえない。
久藤は、何も言わずに、あただただじっとAを見据えた。今日教えることはすべて終わった。あまりにもスピーディに終わってしまったので、することがないのだ。
「今日の分は終わりだ。…あとは自由に過ごせ」
そういうと、Aはぺこりと一例をした後、中庭のほうへと歩いて行った。
「…ずいぶん、雪白Aを気にかけてるようですね。もしかしてタイプだったり……」
「ンなわけねーっつの！だ、だいたい俺にはお前がいる、し…」
「知ってますよ、そんなこと」
にゅ、と音もなく現れた宮内に、少し図星を突かれた。確かに、気にかけてはいる。だが、それはあくまでただあの偽りの笑みが気になるだけで、別に顔がタイプとかそんなのじゃない。宮内一筋だ。それは、今までもこれからも決して変わらない。
そんな二人のやり取りを、Aは壁に寄りかかって聞いていた。
もちろん、中庭へ行ったように見せかけて、曲がり角で止まっただけだ。宮内がいることに、気配で気づいたAの、二人への微かな気遣いであった。
「……あんなに幸せそうにして、、俺もあの方と幸せになれたら＿＿運命を少しでも愛せたのかもなー」
先ほどとは違った、生気も気力も感じられない、伸び切った声音でぼそり。彼はそうつぶやくと、今度こそ本当に中庭へと足を向けた。
続く (更新停止中)
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作者名：Noah-ノア- x他1人 | 作成日時：2019年3月22日 22時
