愛は故郷にありました。 (ページ9)

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お説教ページ9

Aサイド

和くん変に思ったかな。

いつまで島にいるの？
とか
仕事は大丈夫なの？とか。

まぁ普通は気になるか。

それよりも診療所って何時に終わるんだろう。
6時半ごろにはまた戻ってくるのだろうか。

晩御飯一緒に行こうって誘ってくれたんだけど、とてもそんな気分でもないし体力もない。

壁に掛けてある古い時計を見ると３時半。
とりあえずこの汗ばんだ身体さっぱりさせたいな。シャワー頑張って浴びるか。

重たい体をよっこいしょと起こしいったんあぐらをかいて座る。
ちゃぶ台に置きっぱなしになっているすっかりぬるくなった麦茶に手を伸ばす。
キャップを開けるのさえ一苦労。

はぁぁとため息がでる。
こんなにも体力落ちるんだね術後って。

そう思ってると目の前のスマホが鳴った。

番号は登録されてないけど何度も目にしたからだれかはわかってる。

「もしもし。」

『もしもし？？』

すごく驚いたような声の主は松本先生だ。

「もしもし。」

『もしもし？良かったー生きてた。必ず三日後に経過診せにくるって約束だったのに来ないし電話してもでないし留守電残しても折り返し電話ないし、本当に心配したんですけど。その後の体調はいかがですか？』

早口で半分怒ったような口調でまくしたてる先生。
そりゃそうか。

「すみません、約束守らなくて。」

そのあとどう続けて良いかわからず無言になってしまう。

『本当に心配したんですからね。もう済んだことは良いです。その後体調はどうですか？痛みは？傷口は赤みが出たり腫れたりしてませんか？処方した痛み止めはどのくらい飲みましたか？そもそも今どこにいるんですか？』

「痛みはまだ。薬は3錠残ってると思います。今、家です。」

『家？居留守使ったんですか？』

まさか先生私の家まで行ったの？住所は書いてあるから行こうと思えば行けるけどそこまでするものなのだろうか。

「あ、実家の母親の調子が良くなくて故郷に戻ってきてるんです。」

『え？術後のその身体で出かけたってこと？どこ？』

「東京からはだいぶ離れています。心配かけてすみません。お手数おかけしました。大丈夫ですから。」

切ろうとしたのが伝わったみたい。

『切らないで。近くに病院はある？傷口の経過だけちゃんと診せるように。必要ならカルテ送るのでそっちのドクターに伝えて。必ず今日中にドクターに診てもらうように、わかった？』

言葉使いがちょくちょくため口になるのはイラついているときの癖なのだろうか。