愛は故郷にありました。 (ページ32)

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主治医との電話3 ページ32

和サイド

まさか潤くんだったとは。
驚きと久しぶりでなんか嬉しくなって懐かしい話で盛り上がってしまった。

「Aが知ったら驚くだろうな、俺たちが大学の同期だって。」

『だろうな。俺さ、もうすぐ遅い夏休み取る予定なんだけどそっち行こうかな。一応さ、執刀医として経過診ておきたい。にののこと信頼してないわけじゃないよ。』

「わかってるよ。自分が診た患者さんがどうなったか知りたいのはすごくわかる。」

『いつになるかわかんないけど、近いうちに再会しようぜ。』

県立大学の医学部は一学年の人数がそこまで多くなくて全員が顔見知りだった。
なんだかウキウキしてきちゃったよ。

気が付いたらすっかり話し込んでいた。

「とりあえずAのカルテとオペレポート送ってもらえると助かる。」

『今すぐ送るよ。』

メールアドレスを伝えている途中にAが呼んでいる声が聞こえた。

「ちょっとAが呼んでるから様子見に行かないと。じゃあカルテよろしくな。」

『任せて。こちらこそ岩田さんのこと頼んだよ。」

電話を切って急いで病室に向かう。

「どうしたA？痛み出てきちゃった？」

ベッドで横たわるAが先ほどと比べて元気がないように見える。

A「だるい。」

「頑張って歩く練習しすぎちゃったかな。」

今日は張り切って長い時間歩いていたように思う。
素直に不調を訴えて頼ってくれるのは嬉しい。

布団をそっとめくり手首で脈を診る。
ん？熱っぽいな。
少し速い脈と温かい体温が気になる。

ベッドサイドの体温計に手を伸ばし耳に差し込む。

38度2分。おいおい結構な高熱出してくれるじゃないか。

「だるい以外には何かある？お腹は痛くない？傷口とか中のほうが疼くとか。今日は出血はどのくらいあった？」

子宮を取ると中で膣を縫い合わせるのでしばらくは出血が続く。
そこから細菌感染するとも考えにくいんだけど。

術後の診察で唯一嫌だと拒否し続けているのが膣鏡を入れて膣の中の状態を視診すること。これだけは何度言っても首を縦に振らない。

出血が急に増えたりしてなければ大丈夫だけど。

A「なんか身体が重くてだるい。風邪でも引いたのかな。」

「風邪っぽいの？喉が痛いとかくしゃみ、頭痛はどう？」

A「うーん、どうだろう。」

本人がそこまで辛くなければこのまま明日まで様子見で構わないだろうけど。
急な発熱は気になる。術後熱の時期は過ぎたし。合併症起こしてるとなると厄介だな。