始めます。22。 ページ23
牛沢視点。
『最終下校時刻、十分前です。校内にいる生徒は、速やかに下校してください。』
放送の声が聞こえる。
「…じゃあ、私他のこと帰る約束してるから…」
Aは名残惜しそうな顔をして立ち上がる。いやだ、行かないで。なんて、言えるわけもなく。
でも、このままこのチャンスを逃してしまえば。きっと明日にはAはフジのものになっている。それが嫌で。とられたくなくて。そんな安易な考えが、俺の体を動かした。
我慢出来なくなって、Aを抱きしめた。
「！？な、なにして…」
俺の腕の中でAは必死にもがいている。それすらも閉じ込めるように、俺は腕の力を強めた。
いっそのことどうなってもいい。
Aの記憶に俺が残れば。
フジだけに取られるくらいなら、少しくらい心に焼き付けておいてほしかった。俺という存在が、Aの中で消えて欲しくなくて。
言ってしまえばいいだけだ。
フジがどうのこうのじゃなくて、俺が伝えたいことを伝えるだけ。
もう、後戻りはできない。
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「…俺、Aのこと好きだわ」
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「っ…ごめん、なさい…」
苦しそうな顔でそう言うA。
そんな顔しないで。全部、俺ひとりの自己満足なんだからさ。
泣きそうになるのをぐっと堪えて、ゆっくりとAを腕から離す。
笑え。Aに情けない顔は見せたくない。
「俺こそ…今までごめん。ずっと…、好き、だったよ。」
そんなことを言っても、関係が戻るわけじゃない。
一度してしまったことはもう戻せない。
好きだ。今までも、これからもずっと。たとえフジにとられても。
その気持ちがこぼれるかのように、俺の目からも一筋の雫が頬を伝った。
「っ…じゃあな」
泣きながら必死に笑顔を作った。
そんな顔、見られたくなくて。
俺は隠すようにその場を後にした。
「…振られちゃったなあ…」
小さくそうつぶやいた声は、誰に届かずに空に消える。
この日、俺の儚い恋は終わりを告げた。
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はるはる - すごくよかったです！何回を見てます！ (3月14日 15時) (
レス) @page36 id: 36b38a1b35 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーか。(プロフ) - ポチ。さん» さ、最高ですかね…？コメントありがとうございます！！ (2017年9月28日 23時) (レス) id: 3b3ce5bb10 (このIDを非表示/違反報告)
ポチ。 - うっしいいいいいい！！！！ 最高ですわ。最高すぎますわ。 (2017年9月26日 22時) (レス) id: 5deafd338c (このIDを非表示/違反報告)
ゆーか。(プロフ) - しおりさん» お気に召されたなら良かったです！り、リアルなんですかね…？wコメントありがとうございます！ (2017年9月26日 18時) (レス) id: 3b3ce5bb10 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 面白かったですー^ ^！！うっしーがリアル！！笑 (2017年9月26日 14時) (レス) id: faab9ab15a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆーか。 | 作成日時：2017年9月14日 18時
