始めます。18。 ページ19
「盗み聞きとはいい度胸だな」
「なっ！別にそんなんじゃ…」
牛沢と話せていることがやけに嬉しくて、でも久々で慣れない。私のことを嫌っているのに、何故話してくれてるんだろう。そんな疑問も、話せていることに比べればなんてことは無かった。
「…牛沢さ。今の子と付き合うの？」
「あー…」
曖昧に答えると、牛沢は首を捻らせた。
「Aは？付き合って欲しくないの？」
「っ…。うん。」
先ほどの独り言を聞かれていたなら、今更誤魔化してもしょうがない。私はゆっくりと首を縦に振った。
「素直なやつ。」
そう言って私の頭をぐしゃっと撫でた。牛沢の独特な笑い方が妙に安心できて。前みたいな関係に少しでも戻れた気がして、笑がこぼれた。
それから少しの間、2人で横に並んで座りながら話をした。暗黙の了解なのか、あの日のことについてはお互い一切触れなかった。
本当は一番聞きたいのだけれど。
「あの、さ…。最近、フジと…どうなの？」
「普通に、仲いいよ。」
なんで？と聞くと、牛沢は別に。と答える。
言葉の選びこそ冷たく聞こえるが、その表情は柔らかかった。
「じゃあ、まだ恋人は出来てないんだよな？」
「ま、まあ…。でもいつかは出来るよ」
そう言い返す。きっと牛沢なら、どうせ出来ねえよ、とか、お前には無理だ、とか言うと思った。けれどもかえってきたのはあまりにも淡々としたもので。
「そっか」
それ以上は何も言わず、でも、その横顔は何やら満足したような顔つきだ。
前までの二人の関係にもどった気がして、それなのに牛沢が他人行儀なのが面白くて。
私が笑うと、それに釣られて牛沢も笑い出した。なんて幸せな時間なんだろう。このまま、この時間がずっと続いてほしい。そう願った。
『最終下校時刻、十分前です。校内にいる生徒は、速やかに下校してください。』
放送の声が聞こえる。
「…じゃあ、私他のこと帰る約束してるから…」
このままこの場を去ってしまうのは辛かったが、これ以上いるわけにも行かない。
私が立ち上がってもなお、牛沢は何かを考えるように座ったままだった。
「…牛沢？」
私が心配そうに聞くと、不意に立ち上がった。
かと思えば、私の視界は何かに塞がれた。
「！？な、なにして…」
牛沢に抱きしめられたのだ。必死にもがくが、牛沢の腕の力は強くなるばかり。
「…俺、Aのこと好きだわ」
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はるはる - すごくよかったです！何回を見てます！ (3月14日 15時) (
レス) @page36 id: 36b38a1b35 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーか。(プロフ) - ポチ。さん» さ、最高ですかね…？コメントありがとうございます！！ (2017年9月28日 23時) (レス) id: 3b3ce5bb10 (このIDを非表示/違反報告)
ポチ。 - うっしいいいいいい！！！！ 最高ですわ。最高すぎますわ。 (2017年9月26日 22時) (レス) id: 5deafd338c (このIDを非表示/違反報告)
ゆーか。(プロフ) - しおりさん» お気に召されたなら良かったです！り、リアルなんですかね…？wコメントありがとうございます！ (2017年9月26日 18時) (レス) id: 3b3ce5bb10 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 面白かったですー^ ^！！うっしーがリアル！！笑 (2017年9月26日 14時) (レス) id: faab9ab15a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆーか。 | 作成日時：2017年9月14日 18時
