始めます。15。 ページ16
牛沢視点。
「牛沢っ、！！」
「っ…。」
Aが俺の方へ走ってきた。今日は一人で帰ろうかと思っていたのに。やっとお前に諦めがついたのに。必死に俺の元へ走ってくるAを見て、不思議と嫌には感じなかった。
俺が歩き出すと、決して横には並ばずに後ろについてくる。その姿が可愛らしい、なんて。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「ねえ」
「なに？」
「…朝はごめん」
「…別にもう気にしてねえよ」
だから仲直りしよう。なんてそんなことは言えない。出来ることなら今すぐにでも仲直りしたい。前みたいに馬鹿みたいな話して、家でゲームして、寝不足になるまで遊んで、学校でも話して。それが出来たらどんなに楽だったか。
俺が何を言っても、Aは俺にすがりついて来た。どんなに酷いことを言っても、一緒にいたいといってくれた。
でも、その言葉でさえ今の俺には苦しくて。
Aの辛そうな顔を見ると、不意に抱きしめたくなった。今すぐ笑って、しょうがねえなって言ってやりたい。でも、フジの顔が頭によぎって。
「っ…」
友達ひとりのためにこんなに無理をしなくてもと思うかもしれない。でも、これはAにとってもいい事なんだ。俺といてもどうせこの先恋人なんて作れやしないだろう。なら、今このタイミングで俺の元から離れていってくれればいい。
でも、馬鹿な俺にはどうすればいいかなんて分からなくて。
「俺、お前のこと嫌いだから。」
ほら、こうやってAを傷つけて、自分も傷ついて。
ほんとに馬鹿だと思う。
嫌われてしまえば楽になれる。さっきまでそう思っていたはずなのに。
未だに俺の心にはあのモヤモヤが残っている。
Aはもう、追いかけては来ない。
もう二度と、俺に笑いかけてくれない。きっとフジと幸せになって、俺のことなんてすぐに忘れて。
それでいいんだ。
俺一人が傷つけば、すべて丸く収まる。
「っ…A…」
あぁ、ようやくあのモヤモヤが何なのかわかった。
なんで俺はこんなに悲しいのかも、全てわかった。
「…好き…なのになあ…」
俺はAのことが好きだったんだ。
フジに取られたくなかった。でも、好きって気持ちを勝手に閉じ込めて、苦しくても全部一人で抱えて。
今まで気づけなかったことに、呆れて笑いが零れる。
「…あーあ。」
最後まで自分の気持ちに気づけなかった馬鹿な俺は、もう引き返すことなんて出来なかった。
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はるはる - すごくよかったです！何回を見てます！ (3月14日 15時) (
レス) @page36 id: 36b38a1b35 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーか。(プロフ) - ポチ。さん» さ、最高ですかね…？コメントありがとうございます！！ (2017年9月28日 23時) (レス) id: 3b3ce5bb10 (このIDを非表示/違反報告)
ポチ。 - うっしいいいいいい！！！！ 最高ですわ。最高すぎますわ。 (2017年9月26日 22時) (レス) id: 5deafd338c (このIDを非表示/違反報告)
ゆーか。(プロフ) - しおりさん» お気に召されたなら良かったです！り、リアルなんですかね…？wコメントありがとうございます！ (2017年9月26日 18時) (レス) id: 3b3ce5bb10 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 面白かったですー^ ^！！うっしーがリアル！！笑 (2017年9月26日 14時) (レス) id: faab9ab15a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆーか。 | 作成日時：2017年9月14日 18時
