勘違い16。 ページ17
「うぅ…」
部活の途中、私は急に体調が悪くなり今は保健室へ行くところだ。
先ほど心配した友達がついてこようとしたが、歩けないほどではないし迷惑はかけたくないため遠慮しておいた。
僅かに保健室の扉が開いているのが視界に映る。先生がいることを安堵し、私は中に入った。
しかし、そこにいたのは先生ではない。
「っ…」
紛れもない、キヨくんだった。
サッカーの練習で怪我をしたのか、左足がテーピングしてある。
なんとも最悪なタイミングなんだろう。関わりたくない。私の頭にはその思いしかなかった。
「…何しに来たの？」
「具合悪くなったから来ただけ…」
ぶっきらぼうにそう答えて、近くの椅子に腰をかける。この吐き出したくなる気持ちは、体調のせいなのか、もしくはキヨくんと一緒にいることの不満なのか、それすらも私には判別ができない。
一刻も早くここからさりたい。
「…先生いないの？」
「ああ。今頃会議中だよ。」
会議、ということはしばらくは戻ってこないだろう。
無駄足だったか。
「わかった…。…ありがと」
「は…？おい！」
私が保健室を出ようとすると、キヨくんが私の腕を掴んだ。
「なにっ、…して！」
必死に振り払おうとするが、私の力では到底それはできない。ましてや今は体調が悪い。私は眩暈がし、倒れ込んでしまいそうになる。
しかし、私を受け止めたのは冷たい床ではなく、キヨくんの暖かい体だった。
「具合悪いくせに、無理すんな。とりあえずここにいとけよ」
「っ…」
優しい声。言葉。体。
その一つ一つに涙が出そうになる。
やっぱり私はキヨくんが好きだ。
「な、んでそんな、に…優しくするの…」
きっともう私の顔なんて見たくないはずなのに。私はあなたを裏切ったのに。私のことなんて嫌いなはずなのに。
なんで、なんで、なんで。
「…それは…」
言葉をつまらせる。
きっと、キヨくんは優しいから困っていた私をほっとけなかった。ただそれだけ。
今目の前にいるのが私以外の女の子でも、同じことをしてたんだろう。
やっぱり、こんな私に、こんな優しいキヨくんは釣り合わない。
罪悪感で胸が押し潰れそうだ。
「…もう、私に優しくしないで…」
「っ…」
私が今も尚、キヨくんへの気持ちに素直になれないのかがようやく分かった。
キヨくんは優しすぎたんだ。
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みこト(プロフ) - とても面白いです！ でもキヨｓ達って北海道弁だったような…。違っていたらゴメンナサイ！！ (2018年2月6日 22時) (
レス) id: 14fb73bd4f (このIDを非表示/違反報告)
ゆーか。(プロフ) - 百々さん» はじめましてー！こちらこそコメントありがとうございます！温かいお声掛けありがとうございます！これからも頑張ります！ (2017年10月2日 17時) (レス) id: 3b3ce5bb10 (このIDを非表示/違反報告)
百々 - はじめまして！コメント失礼します！とても素敵で一気に読ませていただきました!終わり方の雰囲気好きです‥！これからも応援しています！ (2017年10月1日 22時) (レス) id: 6f1fc7c20c (このIDを非表示/違反報告)
ゆーか。(プロフ) - みんとさん» 初めまして！こちらこそ、最後まで読んでいただきありがとうございます！！こういうコメントが励みになります！本当に、ありがとうございます！！！ (2017年9月28日 23時) (レス) id: 3b3ce5bb10 (このIDを非表示/違反報告)
みんと(プロフ) - 初めまして！素敵なお話読ませていただきました！仕事中に隠れて読んでいたつもりが大号泣で…！！最後まで一気に読み進めてしまいました！素晴らしい作品に出会えたことに感謝ですっ。ありがとうございます。他作品も是非まわらせていただきますね！！ (2017年9月28日 14時) (レス) id: 1c1ca7e1fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆーか。 | 作成日時：2017年9月10日 0時
