【実況者】勘違いから始めましょう。【キヨ】

勘違い13。 ページ14

キヨ視点


好きな子ができた。

同じクラスの女の子。明るい性格で男女共に人気。ルックスも悪くは無い。

最初は単なる好きだった。



「キヨくん。俺、Aちゃんのことが好きやわ。」

「…は？」


明らかなる宣戦布告。

一番の親友がライバルになるなんて。

きっと、レトさんは俺がAのことを好きだって知ってる。だからほら。今だって慣れないくせに恋愛話なんかしちゃってさ。

その時はまだ、所詮はレトさんだから。

とか舐めたことを考えていた。

でも、

「今度告白する」


その言葉を聞くと、俺の中で何かが切れた。


Aに告白する？じゃあ俺はどうなる？好きなやつと親友がくっつくのをただ横目に見てなければいけないのだろうか。

そんなの、絶対に嫌だ。


Aは、俺だけのものだ。


＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

思い立ってからは早かった。

Aと仲良くなってからとか、そんなことはどうでもいい。

手紙を書いて、呼び出して告白した。

返事なんてわかってる。


「ありがとう…。でも…」


でも付き合えない。


そんな言葉が出てくることくらい、アホの俺にも予想できるわけで。

ここで振られるわけにはいかない。

「ほんと？！ありがとう！なんまら嬉しい！」

無理矢理にでもいい。一度だけ付き合ってくれればそれでいい。

勘違いしたふりして喜べば、優しい優しいAは情くらいはかけてくれるだろう。


俺の予想は的中。Aはあっさりと俺の彼女になってくれた。

今、俺のことを好きじゃないとかそんなことはどうでもいい。

Aが俺のものになった、ということが大事なんだ。

好きになるくらい、付き合ってからいくらでもさせればいい。

でも、現実はそううまくいかない。



「いやっ！！」


Aが初めて俺を拒んだ。

好きにさせるくらい。そんな思いとは裏腹に、Aはだんだんと離れていく気がした。


まって。行かないで。


そんなこと俺に言う資格もない。

Aの優しさに漬け込んで、無理矢理付き合って、無理矢理関係を作ろうとして。

それで、行かないで、なんて。

なんてわがままなんだろうか。




ほら、今だって。









「今までずっと勘違いしてたのは、Aの方。」




俺が悪いくせに、全部、全部Aのせいにしてしまうんだ。

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