微熱に浮かされて ページ17
コポコポコポ…
鼻先をかすめる、カモミールの香り。
SW「おはよう、A」
『オッパ、おはよう』
ベッドサイドで、淹れたてのカモミールティを注ぐオッパ。
『……ふふ』
SW「何、どうしたの?笑」
『起きたばっかりだけど、私、この匂いかぐと眠くなっちゃう…笑』
SW「いいよ、寝ても笑 今日、土曜日だしね」
安心する香り、安心する声。
オッパの存在が、お陽さまみたいに私の心を温めてくれる。
SW「はい、どうぞ」
『ありがとう』
オッパと一緒に、ティーカップに口をつける。
『…おいしい』
SW「よかった」
優しく微笑むオッパ。
SW「熱は…もうなさそうだね。」
測りおわった体温計には、36.0℃と表示されていた。私の平熱だ。
『オッパのおかげだよ、ありがとう』
『…オッパ?』
じっと、こちらを見つめているオッパ。
すっ、とその手の甲が私のおでこに当たる。
SW「…36℃」
『へっ?』
そっと引き寄せられて、私はオッパの腕の中。
『オオオ、オッパ…??』
速くなる鼓動。
SW「Aの、温度」
オッパの低くて甘い声が、耳元で響く。
肩に埋もれて、オッパの表情が見えない。
ねぇ、今どんな顔してるの…?
SW「…今日さ、」
『うん…?』
SW「一日、デートしない?」
『デート…? いいよ?』
SW「よかった……」
なんだか、今日のオッパ、いつになく積極的なような……
『…オッパ…?』
黙っているオッパを不思議に思って体を起こすと、
『……赤、い。』
頬を真っ赤にして、とろんとした目のオッパ。
『…これは、もしかしなくても』
オッパのおでこに手を当てる。
はい、熱。
SW「…A…」
そんなウルウルした目で見つめないで。
『今日は、オッパを看病する日ね。』
SW「うぅ……」
涙目のオッパ。
『……ふふっ』
さっきまで大人っぽかったのに、今はまるで子どもみたいなオッパが可愛い。
『デートは、また今度ね』
SW「すぐ治す」
『うん笑』
今度は私が、お返しするからね。
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りり(プロフ) - このお話大好きです。inceptionの曲が大好きだしこのお話も大好き。何回も読み直してます。ソンファ早く目覚めさせてあげてください! (9月20日 9時) (レス) @page26 id: 8fa7639a9a (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - すごく感動しました。映画を観ているような気持ちになりました、、続きが出ることを楽しみにしています😭 (9月14日 2時) (レス) id: 99e62114f5 (このIDを非表示/違反報告)
M - inception聞くたびにこのお話を思い出してしまいます🥲もし、まだこちらのお話を書く気がありましたら是非お願いします。ずっと続き楽しみにしてます(涙) (2022年6月18日 2時) (レス) id: 4253dde426 (このIDを非表示/違反報告)
えたさん - すごく面白かったです!続き楽しみにしてます! (2021年10月8日 0時) (レス) @page17 id: 1f8ead38d8 (このIDを非表示/違反報告)
ミル(プロフ) - すごくすごく面白かったです!続き楽しみに待ってます、更新頑張ってください^^ (2021年6月21日 22時) (レス) id: 8efb4b8ab9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ren | 作成日時:2021年2月24日 22時