星明かりの下 ページ16
-Side YOU-
目を覚ますと、すっかり部屋は暗くなっていた。
開いたカーテンの隙間から差し込む星明かり。
それに白くかすかに照らされた、オッパの寝顔。
…寝顔?
『え、オッパ!? なんで…』
思わず大きな声を出してしまった。
その音量に驚いたのか、おもむろに目を開けるソンファオッパ。
SW「ん…A、起きたの?」
『うん…』
柔らかく微笑むオッパ。
SW「今日、お店に来なかったから、心配になって来たんだ」
『あ…そっか、そうだったね…ありがとう』
そういえば、玄関先でオッパを出迎えて…そこから記憶がない。
ベッドのサイドテーブルに目をやると、すっかり冷めてしまったおかゆがあった。
『ひょっとして、ずっといてくれたの…?』
おそるおそる聞くと、いたずらっぽく口角を上げるオッパ。
SW「行かないでって、言われたからね」
ふふ、と笑われる。
うそ…
『ご、ごめん…』
SW「なんて、正確には言われてないけど。」
そう言って、右手を持ち上げる。
同時に持ち上がった、私の左手。
えーっと…
『これは……』
オッパのシャツの袖を、しっかり握った自分のグーの手。
SW「Aって、結構力強かったんだね?」
『…う…』
恥ずかしくて顔から火が出そう。
SW「…嬉しかったよ」
俯く私に、オッパはそう言った。
SW「僕のこと、もっと頼って。Aが寂しい時は、いつでも会いにいく」
『オッパ……』
SW「熱、ちょっと下がったみたいだね」
おでこに、ひんやりしたオッパの手の平があたる。
私の顔は、ものすごく熱いと思うけど。
『…オッパ』
SW「ん?」
『ありがとう』
目を見てそう言ったら、
オッパは優しく頬を緩めて、
次の瞬間、私の視界は真っ暗。
SW「よかった……」
思ったより硬いオッパの胸板に、顔が埋まる。
頬に触れたシャツからは、ほのかにカモミールの匂いがした。
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りり(プロフ) - このお話大好きです。inceptionの曲が大好きだしこのお話も大好き。何回も読み直してます。ソンファ早く目覚めさせてあげてください! (9月20日 9時) (レス) @page26 id: 8fa7639a9a (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - すごく感動しました。映画を観ているような気持ちになりました、、続きが出ることを楽しみにしています😭 (9月14日 2時) (レス) id: 99e62114f5 (このIDを非表示/違反報告)
M - inception聞くたびにこのお話を思い出してしまいます🥲もし、まだこちらのお話を書く気がありましたら是非お願いします。ずっと続き楽しみにしてます(涙) (2022年6月18日 2時) (レス) id: 4253dde426 (このIDを非表示/違反報告)
えたさん - すごく面白かったです!続き楽しみにしてます! (2021年10月8日 0時) (レス) @page17 id: 1f8ead38d8 (このIDを非表示/違反報告)
ミル(プロフ) - すごくすごく面白かったです!続き楽しみに待ってます、更新頑張ってください^^ (2021年6月21日 22時) (レス) id: 8efb4b8ab9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ren | 作成日時:2021年2月24日 22時