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143話 ページ43

「明日、用事でもあるの?」


「え、いや、特に無いけど。」



予想をしていなかった大貴の質問に、私は言葉を考えることなく返答をしてしまった。

言葉を考えることなく。つまりそれは本音だ。てっきり賛成の返事が返ってくると思っていたものだから、突然の質問に対する回答を考えれるわけがない。



「ならもう少し、時間いいよな。」



先にあのような返答をしてしまったせいで、私は頷くしかなかった。引き止められはしたものの、これ以上何をするというのだろうか。花火は全てやり終えた。大貴の話も聞き終えた。ならば、一体何のために私は引き止められたの。



「今度はAの番。」


「...は?」



突然の、理解不能な大貴からの振りに、思わず声が漏れた。



「Aの話、聞かせて?この夏休み、全然Aと遊べてないし、一緒にいる時間も少ないし、Aが何をして過ごしてるのか気になんだもん。」



と、大貴は言った。その質問は私を困らすには十分だった。



「何って...補習よ補習。知っているでしょ。」



大貴が彼女を作ったから、遊びに出かけることが無くなったなんて、言えるわけがない。それが関連して、夏期講習に通っていることも言えない。

誰とも。今日の花火大会を除いて、誰とも遊びに出かけていないなんて言えない。



「知ってるよ。だから、それ以外で誰かとどこかに出かけた、とかさ?補習だけってことはねぇだろ。」



補習だけなんだよ、私は。本当に誰とも遊びに出かけていない。だって、クラスに友達なんていないのだから。それとも、私が一人で買い物に出かけた話でもする?それで満足?話すことなんてないんだよ。



「一緒に昼飯食ってる違うクラスの友達とかと、遊んだりしてねぇの?」



と、言った大貴の言葉が、一瞬私には理解出来なかった。

一緒に昼食を食べている違うクラスの友達。それは、私が以前その場から逃げるが為に咄嗟についた嘘のことだった。まさかそのことを覚えていただなんて。増してや、そのことを疑わず信じ切っていたというのだ。



「ああ、うん、まあ...遊ぶと言うよりかは、会って話をするぐらいだね。」



またしても、嘘に嘘を重ねてしまう。そんなことをして本当のことがバレた時、面倒なことになるなんて分かりきっているのに、それでも嘘を吐くことを止められない。否、バレてはいけないのだ。私が嘘の塊であることは。

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瑠璃瑚(プロフ) - ラベンダー畑さん» ラベンダー畑さん お久しぶりです!以前もコメントくださりましたよね、ありがとうございます!心を抉られるその感覚が伝わっているのであれば、この小説の主旨が伝わったということで嬉しいです。ありがとうございます!お互い、体調には気を付けましょうね(笑) (2018年7月22日 13時) (レス) id: 51c3decb4a (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃瑚(プロフ) - 愛奈さん» 愛奈さん ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです!もっと沢山の方に読んでいただけるよう精進します! (2018年7月22日 13時) (レス) id: 51c3decb4a (このIDを非表示/違反報告)
ラベンダー畑(プロフ) - 再開されてたんですね! とても 嬉しいです! 細かい所とか 覚えてないから また 読み直そうと 思います 大貴の鈍感さが 一つ一つ 心 抉られます 主人公 可哀想 でも 告る方が 楽になるんじゃないかな? 更新 楽しみです 猛暑のなか 体調 気をつけられて (2018年7月21日 19時) (レス) id: ffe5259ca3 (このIDを非表示/違反報告)
愛奈(プロフ) - このお話、とても好きです!なんで赤星ではないんだろう。もっと多くの人に見てもらいたい!更新頑張ってください! (2018年7月21日 16時) (レス) id: 6fc34b8758 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠璃瑚 | 作成日時:2017年5月29日 11時

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