134話 ページ34
翌日の夕頃、私達は例の花火大会が開催される河川敷に集結していた。光先輩とは昨日会ったものの、高木先輩と薮先輩に会うのは終業式以前ぶりで少し緊張してしまう。
「久しぶり、元気にしてた?」
と、いつもの如く、優しい笑みを浮かべて私に話しかけてきたのは薮先輩だった。
「えへへ、相変わらず元気です。」
しかし、薮先輩がまず先にと私に声を掛けてくれたことによって、その緊張は一瞬にして解ける。久しぶりに会った薮先輩と高木先輩は、夏休みに入る前よりも少し肌が焼けて黒くなっていて、その色は、彼らがこの夏を満喫していることを現していた。同時に自分の腕に目線を移すが、あまり日焼けはしていない。今年の夏は室内に引きこもりがちだからだろうか。
毎年、夏休みといえば大貴と一緒に海に行ったりプールやテーマパークに遊びに行ったりしていたし、それこそ昨年までは部活をしていたのだから、日中はずっと外にいたと言っても過言ではない。
毎年2人ともそれなりにいい色に焼けて、大いに満喫して夏を過ごした。だけど、今年はそうもいかない。今は部活をしていないし、何よりも、大貴がいないのだから話にならない。
一方で、その大貴は例年通り日焼けをしていた。きっと彼女や友達と遊び尽くしているのだろう。
ああ、今年の夏はなんて味の薄い夏なんだ。高校生のひと夏を、こんな風に過ごしていていいのだろうか。
「A、何ボケっとしてんの、行くよ。」
考え事をしていた私の耳に忽然と響いたのは、慧ちゃんの声だった。
「あ...、うん。」
花火が打ち上がるにはまだ少し時間があるため、先輩たちは辺りにある出店を物色している。花火大会といってもただ花火が打ち上がるだけではなく、そういった出店なども多くあるため、祭りと言ってもおかしくはないかもしれない。だからこそ、中身が餓鬼な私と大貴は毎年欠かさず訪れていたのだ。
時期、あのふたりもこの場に現れる。否、既にこの場にいるのかもしれない。花火が打ち上がるには時間があるが、人の数は着々と増え続け、河川敷は溢れんばかりの人でいっぱいだ。
あのふたりに遭遇したらどうしよう...
ただでさえこの夏休みは大貴と顔を合わした回数が少なくて、まともに会話をしていない。そこに加えて大貴の隣に彼女がいるなんことを思ったら...
ううん、駄目だ。今は余計なことを考えないでおこう。今は先輩立ちと楽しまなきゃ。
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瑠璃瑚(プロフ) - ラベンダー畑さん» ラベンダー畑さん お久しぶりです!以前もコメントくださりましたよね、ありがとうございます!心を抉られるその感覚が伝わっているのであれば、この小説の主旨が伝わったということで嬉しいです。ありがとうございます!お互い、体調には気を付けましょうね(笑) (2018年7月22日 13時) (レス) id: 51c3decb4a (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃瑚(プロフ) - 愛奈さん» 愛奈さん ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです!もっと沢山の方に読んでいただけるよう精進します! (2018年7月22日 13時) (レス) id: 51c3decb4a (このIDを非表示/違反報告)
ラベンダー畑(プロフ) - 再開されてたんですね! とても 嬉しいです! 細かい所とか 覚えてないから また 読み直そうと 思います 大貴の鈍感さが 一つ一つ 心 抉られます 主人公 可哀想 でも 告る方が 楽になるんじゃないかな? 更新 楽しみです 猛暑のなか 体調 気をつけられて (2018年7月21日 19時) (レス) id: ffe5259ca3 (このIDを非表示/違反報告)
愛奈(プロフ) - このお話、とても好きです!なんで赤星ではないんだろう。もっと多くの人に見てもらいたい!更新頑張ってください! (2018年7月21日 16時) (レス) id: 6fc34b8758 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃瑚 | 作成日時:2017年5月29日 11時