130話 ページ30
それから毎日、私の勉強地獄は始まった。学校の補習を受けた後はそのまま夏期講習に行き、帰宅後夕飯を食べてお風呂に入って寝る。その生活の繰り返しだ。だから、大貴と過ごす時間は着実に減っていった。
大貴も補習はあるらしいが、どうやらそれは英語だけらしく、私と一緒に受けるということはない。私が学校で大貴と会うといえば、補習終わりの大貴と廊下ですれ違うくらいだ。
勿論、会えば会話はするし、今まで通り接するのだが、やはりどこかよそよそしくなってしまう。それは距離感が上手く掴めないからかもしれない。
心の距離感。
恋愛対象から、ただの幼馴染という距離感の変化が、どうもいまいち分からないのだ。そう簡単に適応できるものでもないのだろう。
そんな軸のしっかりしないフラフラと不安定な状態のまま、夏休みは中盤に差し掛かった。
お昼以降も補習がある私は、毎日昼食を持って、学校に来ている。夏休み中、食堂は開いていないからだ。
普段なら外は暑いから教室で昼食を取るのだけど、何故か今日は気分が違った。私の足が何気なく自然と赴いた場所は、中庭だった。
目指すのは中庭のとある場所。私にとっては奇妙な記憶しかない場所だ。
夏休み直前にあった奇妙な出来事。あの時あの場所で繰り広げられたやりとりは、今でもよく理解出来ない。思い返しても、そもそもどうしてあんなことになってしまったのか、原因すら分からない。
中庭に着き、奥の方へと歩いて行けばその場所へと辿り着く。相変わらず蝉はミンミンと鳴いていて、思わず耳を塞ぎたくなるほど煩わしい。
目的の場所が目に入り、私は蝉の鳴き声に顔をしかめながら、木陰を求めて歩くスピードを上げるも、あるものが目に入り足の動きは止まる。その古びたベンチに腰掛けている人物。
｢光先輩...｣
ひとり、ぽつんと座っていたのは光先輩だった。
｢あ...Aちゃん。｣
向こうも私に気がつき、私の名を呼ぶ。
そうだ、そういえば先輩も補習あるんだったっけ。学年が違うから受ける教室は違うし、科目も違うから、ばったり遭遇するということが無かった。まさかここで遭遇することになるなんて。
｢えっと...隣、いいですか？｣
私は昼食を取るためにここに来たわけで、駄目と言われれば別の場所を探さなければならない。しかし先輩は頷いて私に手招きをする。その行動に従って、私は先輩の隣に腰を下ろした。
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瑠璃瑚(プロフ) - ラベンダー畑さん» ラベンダー畑さん お久しぶりです！以前もコメントくださりましたよね、ありがとうございます！心を抉られるその感覚が伝わっているのであれば、この小説の主旨が伝わったということで嬉しいです。ありがとうございます！お互い、体調には気を付けましょうね（笑） (2018年7月22日 13時) (
レス) id: 51c3decb4a (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃瑚(プロフ) - 愛奈さん» 愛奈さん ありがとうございます！そう言って頂けると嬉しいです！もっと沢山の方に読んでいただけるよう精進します！ (2018年7月22日 13時) (レス) id: 51c3decb4a (このIDを非表示/違反報告)
ラベンダー畑(プロフ) - 再開されてたんですね！ とても 嬉しいです！ 細かい所とか 覚えてないから また 読み直そうと 思います 大貴の鈍感さが 一つ一つ 心 抉られます 主人公 可哀想 でも 告る方が 楽になるんじゃないかな？ 更新 楽しみです 猛暑のなか 体調 気をつけられて (2018年7月21日 19時) (レス) id: ffe5259ca3 (このIDを非表示/違反報告)
愛奈(プロフ) - このお話、とても好きです！なんで赤星ではないんだろう。もっと多くの人に見てもらいたい！更新頑張ってください！ (2018年7月21日 16時) (レス) id: 6fc34b8758 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑠璃瑚 | 作成日時：2017年5月29日 11時
