124話 ページ24
｢何他人事みたいに言ってんの？光、お前も補習入ってんだぞ。｣
慧ちゃんのその言葉によって、私に笑顔でエールを送っていた光先輩の顔からは笑みが消え、その表情は一気に絶望に満ちたものに変わった。
｢え？それマジで言ってんの？悪い冗談はやめろよ、いのちゃん。｣
先輩は、慧ちゃんの言う事を冗談だと言って受け取らない。そりゃ誰でも冗談だと思うし思いたいだろう。しかし、慧ちゃんは先輩にプリントを突き出した。
｢理系のくせに数学落としてどうすんだよ。化学も落としてるし。｣
先輩に突き付けられたプリントの右上には八乙女という文字が見える。それはつまり冗談でも何でもなく、正式に補習に呼ばれているということ。
信じたくない、認めたくないといった表情を見せる先輩は、ほんの数分前の私を見ているようだ。
｢福ちゃんが職員室で待ってるって。荷物も福ちゃんが預かってる。｣
福ちゃん、というのは恐らく二人の担任、福田先生のこと。相変わらず先生との距離が近い。先輩達は私の担任とも仲が良いし、保健室の先生とも親しい。人とコミュニケーションを取るのが上手なんだな。
｢Aちゃん、頑張ろうな...｣
諦めが付いたのか、気持ちに踏ん切りがついたのか、先輩はこの件を素直に受け入れたようだ。
｢ですね...頑張りましょう。｣
まあ、嫌なことに変わりはないけど、心のどこかでこうなることは分かっていた。無かったら逆に怖いもんね。
あいつは...
大貴はどうだったんだろう。
さっきこの場に訪れはしたけれど、それどころじゃなかった。20も順位を上げたと言っていたし、もしかしたら大貴は回避出来たのかもしれない。だとしたら腹が立つ。けれど、実際問題そっちの方がありがたい。会わなくて済むならそれに越したことは無い。会わないのなら、顔を見なくて済むのなら、大貴のことを考えることもないでしょ。
近くにいるから、目に映ってしまうからこんなにも胸が苦しくなるのだ。大貴が恋しくなるのだ。ならば、知らなければいい。これ以上あいつのことを知らなければいい。私が知ったところで、もう何もしてあげることなんてないし、何もしてあげることなんて出来ないから。
なんて達者なことを述べているけど、こんなことを考えている時点で、私は大貴のことを諦めきれていないのだ。いつまでもズルズル引きずって、ねちねち考え込んで、本当、気持ち悪い奴。
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瑠璃瑚(プロフ) - ラベンダー畑さん» ラベンダー畑さん お久しぶりです！以前もコメントくださりましたよね、ありがとうございます！心を抉られるその感覚が伝わっているのであれば、この小説の主旨が伝わったということで嬉しいです。ありがとうございます！お互い、体調には気を付けましょうね（笑） (2018年7月22日 13時) (
レス) id: 51c3decb4a (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃瑚(プロフ) - 愛奈さん» 愛奈さん ありがとうございます！そう言って頂けると嬉しいです！もっと沢山の方に読んでいただけるよう精進します！ (2018年7月22日 13時) (レス) id: 51c3decb4a (このIDを非表示/違反報告)
ラベンダー畑(プロフ) - 再開されてたんですね！ とても 嬉しいです！ 細かい所とか 覚えてないから また 読み直そうと 思います 大貴の鈍感さが 一つ一つ 心 抉られます 主人公 可哀想 でも 告る方が 楽になるんじゃないかな？ 更新 楽しみです 猛暑のなか 体調 気をつけられて (2018年7月21日 19時) (レス) id: ffe5259ca3 (このIDを非表示/違反報告)
愛奈(プロフ) - このお話、とても好きです！なんで赤星ではないんだろう。もっと多くの人に見てもらいたい！更新頑張ってください！ (2018年7月21日 16時) (レス) id: 6fc34b8758 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑠璃瑚 | 作成日時：2017年5月29日 11時
