118話 ページ18
無けなしの期待をあっさりと打ち砕かれた先輩は、シューッと音を立てるように縮こまり、ベッドへと身体を預けた。
やはり私の読みは当たっていたようだ。
「今からでもHRに出てくる?」
と、萎れる先輩に先生が声を掛けた。
「どっちにしろ怒られるんだし、もういいや。」
落ち込みでもしているのかと思ったが、案外先輩はケロッとしていて、今の自身の状況に焦りはしていないようだ。直前の萎れ様は何だったのか。
「後輩の前でそういうこと言わないの。」
と言って、二人の視線が私に向けられる。先輩の発言を受けて、私にもサボり癖がつくことを心配しているのだろうか。
「私は...」
大丈夫、そうはならない、という言葉を口にすることが出来ない。何故か。それは私が面倒臭がりであるからだ。近い将来、私が光先輩同じ行動をとる日が来るかもしれない。
「まあ、事の善し悪しは別として、八乙女くんみたいな思い切った行動力は嫌いじゃないし、必要だと思うけれどね。」
先生は机に向かって紙に何かを記入すると、椅子から立ち上がった。
「またどこかに行くの?」
保健室を出ていこうとする先生に先輩が問う。
「事務室にね。二人が出ていくまでに私が帰ってこなかったら、電気だけ消しておいてくれればいいから。」
それだけ言うと、先生は再び保健室から出ていった。保健室の先生っていうのも、暇じゃないんだな。保健室の先生は楽そう、という意見を私は持っていたのだが、その偏見は今ので覆された。
「Aちゃん、勘違いしないでね。俺、サボり魔とかじゃないからね?」
さっきの会話から私が先輩のことをサボり魔と連想することを恐れたのか、先輩は少し焦りながら弁解をする。
「は、はい。」
別にサボり癖があっても、私は何とも思わないんだけどな。私も授業中に堂々と居眠りをしたりするし、サボり癖が無いと言えば嘘になる。とはいえ、先輩はそう思われることは困るのかもしれない。
何故なら、人のことを言えないくなるから。
先輩は慧ちゃんのことをサボリ扱いにするけれど、このままではそうはいかなくなるのだろう。私の前ではしっかりしていて、まるで兄のように面倒見がいい先輩だけど、慧ちゃんや薮先輩、高木先輩や教師達の前になるとおちゃらける一面を先輩は持っている。
百面相、とまではいかないが、色んな一面を持つ先輩を面白い人だなと思った。
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瑠璃瑚(プロフ) - ラベンダー畑さん» ラベンダー畑さん お久しぶりです!以前もコメントくださりましたよね、ありがとうございます!心を抉られるその感覚が伝わっているのであれば、この小説の主旨が伝わったということで嬉しいです。ありがとうございます!お互い、体調には気を付けましょうね(笑) (2018年7月22日 13時) (レス) id: 51c3decb4a (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃瑚(プロフ) - 愛奈さん» 愛奈さん ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです!もっと沢山の方に読んでいただけるよう精進します! (2018年7月22日 13時) (レス) id: 51c3decb4a (このIDを非表示/違反報告)
ラベンダー畑(プロフ) - 再開されてたんですね! とても 嬉しいです! 細かい所とか 覚えてないから また 読み直そうと 思います 大貴の鈍感さが 一つ一つ 心 抉られます 主人公 可哀想 でも 告る方が 楽になるんじゃないかな? 更新 楽しみです 猛暑のなか 体調 気をつけられて (2018年7月21日 19時) (レス) id: ffe5259ca3 (このIDを非表示/違反報告)
愛奈(プロフ) - このお話、とても好きです!なんで赤星ではないんだろう。もっと多くの人に見てもらいたい!更新頑張ってください! (2018年7月21日 16時) (レス) id: 6fc34b8758 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃瑚 | 作成日時:2017年5月29日 11時