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ようやく自由になった冨岡に夕食の余りの鮭大根を持たせて街まで送り終えると、大きなため息が漏れた。
「見送りは私だけでいいと言いましたのに…」
隣に立って同じ冨岡の背を見送るAが言った。
「うるせェ。もう外も明るくねェだろォ。」
「師範ってば心配し過ぎですよ。過保護な親ですか。」
ああ言えばこう言いやがって。
冨岡の姿が完全に街に溶け込み見分けが付かなくなるのを確認すると、俺たちは踵を返して帰路に着く。
「でも、一日付き合って下さってありがとうございました。」
「仕方ねェだろ。」
まだガヤガヤと騒がしく灯りの多い街の中を、人の流れに逆らって歩く。そういや、こんな時間にAと街を一緒に歩くのはいつぶりか。
「そもそもお前の方が任務終わりで疲れてんだろーが。帰ったら直ぐに寝ろォ。」
「いえ、でも…」
「偶には師範の言うこと聞きやがれェ。」
そう言ってAの頭に手を乗せてワシワシと撫でてやると、「わかりました。」とAは答えた。今日えらく素直だ。こいつのことだ。どうせ一日自分に付き合って貰ったから俺に迷惑かけねェようにとか考えてんだろォなァ。
街は老若男女でごった返していて、ふと店の硝子戸に映った自分たちの姿が目に入ると、その姿が余りにも街と人並みに馴染んでいることに驚いた。二人の男女が肩を並べて歩いているのだ。
「師範？どうしました？」
「ッ、なんでもねェよ。」
突然、Aが顔を覗き込ませてくるものだから思わず言葉が詰まった。
俺はなに変なこと考えてんだァ？！らしくねェらしくねェ！！
Aに思考を見透かされてねェかと心臓がバクバクと大きく脈打つ。一方のAは興味も無さそうに既に前を向いて歩いていた。かと思えば、Aは何かを思い出したかのように「あ。」と声を漏らして俺を見た。
「師範、手を繋いでもいいですか？」
「あ、？」
待て、今コイツ何つった？手を繋いでもいいかと聞いたか？手を繋ぐ？誰と誰が。俺とAがか？
「はァッ、？！」
何言ってやがんだコイツはァ？！
Aはジッと俺のことを見つめている。俺の返答を待っているのだ。しかも一切顔色を変えずにいる。
「お前、何言って…」
「あ、嫌なら大丈夫です。」
嫌ならって…嫌とかじゃなくてよォ。Aは何とも思わねェのか？何で俺だけ焦ってんだ。
そのことに少し苛立って、すぐそばにぶら下がっているAの手を手に取った。
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瑠璃瑚(プロフ) - 釈迦様さん» お恥ずかしい変換ミスです…作中一通り見直して訂正はしたのですが、まだ直っていない箇所が有ればご指摘頂きたいです。 (2020年2月19日 20時) (
レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃瑚(プロフ) - しらとぅさん» なんとお優しい、、ありがとうございます！>< (2020年2月19日 20時) (レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)
釈迦様 - 師範が市販…°。:(°ε°)ﾌﾞﾌｯ! (2020年2月17日 0時) (レス) id: bccea59c19 (このIDを非表示/違反報告)
しらとぅ(プロフ) - 瑠璃瑚さん» いえいえ！誰でもミスはありますよ！これからも頑張ってください！ (2020年2月8日 20時) (レス) id: 785ac6cfee (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃瑚(プロフ) - しらとぅさん» ご指摘ありがとうございます！お恥ずかしい変換ミスをしてしまいました、、>< (2020年2月8日 20時) (レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑠璃瑚 | 作成日時：2020年1月11日 14時
