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私が調合した風邪薬を師範が服用して数時間が経った。師範はようやく眠りにはついたものの、苦しそうに荒い呼吸を繰り返している。


頑張り過ぎなんですよ、貴方は。


眠る師範に向けてボソッと呟く。この言葉は師範の耳には届いていないだろう。

いつもだったらちょっとやそっとじゃ倒れることなどないのに。たかが熱ごときで倒れ込んでしまうだなんて師範らしくもない。日頃の疲労が積み重なって、そのツケが今回ってきたというところだろう。





それは鬼殺隊において最高の称号。柱であるからには強くなければならない。それに加えて他の隊員を扇動する力も必要。隊員にとっての希望の光でなくてはならない。それでも、柱だって、やはりは人なのだ。柱だけが特別な存在というわけではない。



「A…」



眠る師範の目が薄らと開き、苦しそうに私の名前を呼んだ。



「はい。なんでしょう。」



師範が横になる枕元に寄る。



「喉が渇いた…」



掠れた声で師範が言った。ああそれはいけない。



「ではすぐに水をお持ちします。」



師範の要望に応えるべく、台所に向かおうと立ち上がろうとすれば、クンと着物の裾が引っ張られ私の動きが封じられる。私の着物の裾を引くのは師範の手で、あろうことか師範の要望を叶えることを師範が邪魔をした。



「どうしまし…」

「何処にも行くなァ。」



裾を掴む師範の手に力が込められる。師範は目を瞑って、何度もその言葉を繰り返した。



「もう誰も何処にも行かないでくれ。」



その言葉が、グサッと私の胸に突き刺さる。


ああ、やはり師範だって人間なのだ。誰にも見せないだけで、強がって見せているだけで、本当は隠している本音がある。弱い部分があるんだ。師範が強いのは明確だけれど、だからといって弱い面が無いわけではない。



「私はここにいますよ。」



着物の裾を掴む師範の手を私の手で覆ってやると、暫くして師範からは再び寝息が聞こえ始めた。


いつもそれくらい素直になればいいのに。


師範の周りには、師範が思う以上に師範のことを大切に思っている人が沢山いるんですよ。私だってそのひとりなんですから。師範が居なくなっては困るのです。弟の玄弥くんだって、そう思ってますよ。


と、まあ、寝ている人に語りかけたところで届きはしないんですけどね。私は師範にもっと自分と自分の気持ちを大事にして欲しいのです。

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瑠璃瑚(プロフ) - 釈迦様さん» お恥ずかしい変換ミスです…作中一通り見直して訂正はしたのですが、まだ直っていない箇所が有ればご指摘頂きたいです。 (2020年2月19日 20時) (レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃瑚(プロフ) - しらとぅさん» なんとお優しい、、ありがとうございます!>< (2020年2月19日 20時) (レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)
釈迦様 - 師範が市販…°。:(°ε°)ブフッ! (2020年2月17日 0時) (レス) id: bccea59c19 (このIDを非表示/違反報告)
しらとぅ(プロフ) - 瑠璃瑚さん» いえいえ!誰でもミスはありますよ!これからも頑張ってください! (2020年2月8日 20時) (レス) id: 785ac6cfee (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃瑚(プロフ) - しらとぅさん» ご指摘ありがとうございます!お恥ずかしい変換ミスをしてしまいました、、>< (2020年2月8日 20時) (レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠璃瑚 | 作成日時:2020年1月11日 14時

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