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「僕は特に拘りないし…荼毘についてく」
言質取ったり、と義爛は早速二人の獲物を仲介先へ連れて行った。
相変わらずぽけーっとしているAとは反対に、荼毘は義爛に対する不信感が生まれたのか同居人の手を握って離さない。
もっとも義爛からした彼らは、外見は全く違うものの双子の兄弟のようで微笑ましいばかりだった。
道中これから会う取引先のボスなる男の写真を見せられたが、これがまた異様だった。
Aのようにガリガリの体に、(作り物か本物か分からないが)いくつもの手をくっつけている。比喩ではない。本当、手をくっつけているのだ。
「ちょっと前の僕みたい」
「今も大して変わんねェよ」
心外。
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「………黒霧、こいつらトバせ。俺の大嫌いなもんがセットで来やがった」
カウンターの椅子に座りながらそう言い放ったのは、写真で見た通りの薄青い髪に手だらけの若い男だ。
テナントの入っていない廃ビルの一室、古くも中々小洒落たバーに、荼毘とAと義爛、それに途中で合流した女子高生が足を踏み入れた途端のことだった。
「餓鬼と、礼儀知らず」
Aはどうやら「礼儀知らず」の方にカテゴライズされたらしい。
小柄でガリガリとはいえ流石に子供には見えない。
成人式をパーカーで過ごし、当時まだ未成年だった荼毘を巻き込んで宅飲みしたという過去を持つ彼は現在、実に25歳であった。
「まァまァ…せっかくご足労いただいたのですから話だけでも伺いましょう、死柄木弔。
それに、戦力的に間違いは無いハズです」
バーテンダーのようにカウンターの奥に立つ、体が靄のような男がなだめる。
死柄木弔___多種多様な姓が蔓延るこの社会でも、抜きん出て縁起が悪い名前だ。
「なんでもいいが手数料は頼むよ、黒霧さん。
とりあえず紹介くらいはさせてもらおう。
まずこちらの可愛い女子高生。
名も顔もメディアが守ってくれちゃってるが、連続失血死事件の容疑者として追われてる」
セーラー服を可愛らしく着こなし、金髪を不器用に二つの団子にしている少女だ。
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篠瀬(プロフ) - 金爽さん» こちらこそ、読んでいただき、コメントもくださりありがとうございます😆そう言っていただけると本当に嬉しいです!! (4月1日 8時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
金爽(プロフ) - あ、、さ、さいこう。ありがとう、ござい、ます。 (4月1日 0時) (レス) @page35 id: 39dbcee998 (このIDを非表示/違反報告)
篠瀬(プロフ) - ありがとうございます!とっても励みになります!!もっと面白い話をお届けできるよう、これからも頑張ります!! (3月27日 10時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
本好き - 面白かったです(^o^) 更新頑張って下さい! (3月27日 9時) (レス) @page25 id: 6183cd2648 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:篠瀬 | 作成日時:2024年3月11日 11時